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公正証書遺言でもめるケースと解決法 | もめないための予防策を徹底解説

2026.03.03

「公正証書遺言さえ作れば絶対に安心」と考えてはいませんか?実は、公証人が作成した遺言であっても、遺留分の侵害や作成時の判断能力を巡って、残された家族が争いに発展するケースは少なくありません。

公正証書遺言は単に形式を整えるだけでなく、法的なリスクを排除する必要があります。

本記事では、公正証書遺言でもめるケースともめた場合の解決法を解説します。

公正証書遺言でもめないための予防策もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

1.公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する、法的に強力な遺言書のことです。自分で書く自筆証書遺言と違い、専門家が作成するため、形式の不備で無効になるリスクはほとんどありせん。

公正証書遺言は、証人が2人立ち会うため、本人の意思であるのをしっかり確認して作成します。また、原本が役場に保管されるため、紛失や偽造の心配も不要です。

1-1.公正証書遺言作成の流れ

公正証書遺言を作成する流れは、まず財産の内容を整理し、誰に何を継がせるかの案を決めます。次に公証役場へ連絡し、必要な書類(戸籍謄本や印鑑証明書など)を準備しましょう。

公証人と内容の打ち合わせをおこない、文案が固まったら当日に証人2人と役場へ向かいます。公証人が遺言を読み上げ、本人が署名・押印をおこなうと完成です。

最後に手数料を支払うと、正本や謄本を受け取れるようになります。

2.公正証書遺言でもめるケース

一見すると、公正証書遺言にすれば問題なく、親族に遺産を分配できると思いますが、形式の不備で無効になるリスクがほとんどなく、本人の意思確認や紛失や偽造の心配も不要な公正証書遺言でもめるケースは存在します。

ここでは公正証書遺言でもめるケースを見ていきましょう。

  • 遺言作成時に認知症で意思能力がなかった疑いがある
  • 遺留分を侵害する極端な内容になっている
  • 遺言の内容が相続人の事前の期待や約束と異なっている
  • 公証人への口授や証人の立会いなど作成手続きに不備がある
  • 財産目録に記載されていない新たな遺産が見つかった

ひとつずつご紹介します。

2-1.遺言作成時に認知症で意思能力がなかった疑いがある

遺言を作ったときに認知症が進んでいて、本人に正しい判断能力があったか疑われるのが公正証書遺言でもめる代表的なケースです。公証人は医学的な診断をおこなうわけではないため、作成時の様子から「他人に無理やり作らされた」と主張される場合があります。

認知症で意思能力がなかったと争いが起きないように、医師の診断書をもとに能力を証明する準備をおこないましょう。

2-2.遺留分を侵害する極端な内容になっている

法律で決められた最低限の取り分である「遺留分」を無視した内容にすると、公正証書遺言であってももめやすくなります。たとえば「すべての財産を愛人に譲る」といった極端な遺言は、残された家族の生活を脅かして反感を買いやすいです。

遺留分を侵害された相続人は、権利を取り戻すためにお金を請求する法的な手続きをおこなえます。せっかくの遺言を無駄にしないためには、最初から各人の取り分に配慮するのが大切です。

2-3.遺言の内容が相続人の事前の期待や約束と異なっている

公正証書遺言の内容が、生前に相続人が聞いていた約束とかけ離れていると、不信感からもめやすくなります。「実家は長男に継がせる」と言いながら次男に譲るような内容の場合、兄弟間で不公平を感じるおそれがあります。

口約束と異なる指示がある場合は、生前に家族会議をおこない、自分の考えをしっかりと伝えておきましょう。

2-4.公証人への口授や証人の立会いなど作成手続きに不備がある

公正証書遺言であっても、公証人への伝えかたや証人の選定に不適切な点があると無効を主張される場合があります。法律では本人が公証人へ直接内容を伝える口授が求められますが、付き添い人が代弁しすぎると手続きが不当だと判断されるリスクがあるのです。

証人が相続人と親しい関係だと、証人としての資格を疑われる場合もあります。ルールを正しく守っておこなうのが、公正証書遺言を作るときのポイントです。

2-5.財産目録に記載されていない新たな遺産が見つかった

遺言書に書かれていない隠れた財産があとから見つかると、その分けかたを巡って再び遺産分割協議をおこなう必要が生じます。公正証書遺言は記載された財産のみに効力があるため、漏れがあると家族の負担を増やします。

作成時に全財産を正確に調査したもとに目録を作るのが、もめる火種を残さないコツです。

関連記事:公正証書遺言は無視できる?無視する場合の正しい対応や注意点

3.公正証書遺言でもめた場合の解決法

公正証書遺言でもめた場合は、冷静な話し合いや法的な手続きを通じて解決を目指します。まずは当事者同士で協議をおこない、納得できないなら家庭裁判所の力を借りるのが一般的な流れです。

ここでは公正証書遺言でもめた場合の解決法をご紹介します。

  • 相続人全員の合意のもと遺産分割協議で配分を決め直す
  • 家庭裁判所の調停・審判を利用する
  • 遺留分侵害額請求をおこなう
  • 遺言無効確認訴訟を提起する
  • 相続トラブルに強い弁護士を代理人にして交渉を進める

ひとつずつ見ていきましょう。

3-1.相続人全員の合意のもと遺産分割協議で配分を決め直す

相続人全員が合意すれば、遺言書の内容に従わずに遺産の分けかたを決め直せます。公正証書遺言は強い効力を持ちますが、全員の意見が一致した場合はその合意が優先されます。

無理に遺言を押し通すより、全員が納得する形を模索する方が円満な解決につながります。

関連記事:遺産分割協議しないとどうなる?リスクおよび手続きの進め方

3-2.家庭裁判所の調停・審判を利用する

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や審判を利用するのが確実です。調停では裁判官や調停委員が間に入り、お互いの妥協点を探るためのサポートをしてくれます。

調停で決まらない場合は、審判によって裁判所が最終的な分割方法を決定します。

3-3.遺留分侵害額請求をおこなう

遺言によって自分の取り分が極端に少ないときは、遺留分侵害額請求をおこないましょう。法律では配偶者や子供などの相続人に対し、最低限受け取れる財産の割合が保障されています。遺言で誰か1人がすべての財産を継ぐとされた場合でも、その人に対して現金の支払いを求めることが可能です。

ただし、相続を知った日から1年以内に手続きをする必要があります。

3-4.遺言無効確認訴訟を提起する

遺言作成時に本人の判断能力がなかったと疑われる場合は、遺言無効確認訴訟を提起しましょう。公正証書遺言であっても、認知症が進行していて内容を理解できていなかったと証明されると、無効になる場合があります。

医師の診断書や当時の生活状況の記録をもとに、裁判所で遺言が有効かどうかを厳格に判断してもらい、勝訴した場合は改めて分割協議をおこないましょう。

3-5.相続トラブルに強い弁護士を代理人にして交渉を進める

複雑な相続争いに発展した場合は、相続問題に特化した弁護士を代理人にして交渉を進めるのが安心です。専門的な法律の知識をもとに、相手方と対等な立場で冷静に話し合いをおこなってくれます。

あなたの有利になる証拠を整理し、最大限の利益を守るための戦略を立ててくれるでしょう。

3-5-1.弁護士に依頼する場合の費用

弁護士に依頼する際の費用は、最初におこなう相談料や着手金、解決後の報酬金が必要です。たとえば数百万円から数千万円の遺産を巡る争いの場合、それに応じた手数料がかかります。

正確な金額は事務所ごとに異なるため、事前に見積もりを取って総額をしっかり確認するのが大切です。

関連記事:公正証書遺言に納得がいかないときの対処法と遺言が無効になる5つのケース

4.公正証書遺言でもめないための予防策

公正証書遺言でもめないためには、家族全員が納得できる準備をおこなうのが大切です。ここでは公正証書遺言でもめないための予防策をご紹介します。

  • すべての相続人の遺留分に配慮した内容にする
  • 作成当日の意思能力を証明する医師の診断書を残す
  • 付言事項を活用して遺言に込めた想いや理由を伝える
  • 信頼できる遺言執行者を指定し手続きの負担を減らす
  • 推定相続人と生前に内容を共有し理解を得ておく

ひとつずつ見ていきましょう。

4-1.すべての相続人の遺留分に配慮した内容にする

遺産を分けるときは、すべての相続人に最低限の取り分である遺留分に配慮するのが大切です。誰か1人だけに財産を集中させすぎると、ほかの親族から遺留分侵害額請求を起こされるリスクがあります。

法律にもとづいた公平な配分を意識すると、死後のトラブルを回避できます。家族の不満を生まない配慮を忘れないようにしましょう。

4-2.作成当日の意思能力を証明する医師の診断書を残す

公正証書遺言でもめないためには、遺言書を作る当日に判断能力がしっかりしていた証拠を残しておいてください。高齢になってから作成をおこなうと、あとから「認知症で判断できなかったはずだ」と公正証書遺言の無効を主張されるリスクがあります。

当日の様子を動画で記録するのもひとつの手です。親族間や裁判での争いを防ぐためにも、医師の診断書といった医学的な証明を用意しておきましょう。

4-3.付言事項を活用して遺言に込めた想いや理由を伝える

付言事項を活用して、どうしてこのような財産配分にしたのかという想いを家族に伝えておくのも、公正証書遺言でもめない予防策として有効です。事務的な内容だけでなく、自分の言葉で理由を記すと相続人の納得感が高まります。

法的な効力はなくても、付言事項の活用は心のトラブルを防ぐ重要な役割を果たしてくれるでしょう。

4-4.信頼できる遺言執行者を指定し手続きの負担を減らす

公正証書遺言の手続きをスムーズに進めるために、信頼できる遺言執行者をあらかじめ指定して置くのが大切です。

遺言執行者は、あなたの代わりに財産を分ける複雑なおこないを担当する専門的な役割です。弁護士や専門家に依頼すると、公平な立場で手続きが進むため親族間でもめるのを防げます。

4-5.推定相続人と生前に内容を共有し理解を得ておく

自分が元気なうちに、遺産をどう分けるつもりかを相続人に話して理解を得ておくのも、親族間でもめないための予防策です。突然知らない内容の遺言書が出てくると、驚きが不信感に変わりトラブルへ発展しやすくなります。とくに事業承継などの重要な話は、家族会議で丁寧におこないましょう。

生前に話し合う時間を設けると、全員が納得した状態で相続を迎えられます。心の準備をサポートするのも、親としての最後の役目です。

5.まとめ

公正証書遺言であっても、遺留分の配慮や家族への説明を欠くとトラブルに発展するリスクがあります。公証人が作成したからと安心しきらずに、付言事項でおこなう自分の想いを伝えるのが家族の納得感につながります。

当事務所では、単に形式を整えるだけでなく、残されたご家族が争うことなく円満に財産を引き継げる「想いまで形にする遺言書」の作成を支援しています。家族がもめない公正証書遺言の作成を考えている方は、お気軽にご相談ください。

監修者 池部 翔司法書士・行政書士

司法書士法人・行政書士鴨川事務所 代表

相続手続きは複雑で、自己判断により重大なトラブルを招くことがあります。当事務所では、丁寧に相談を受けたうえで、専門知識を活かし、最適な解決策の提案から実行までをサポートしています。

京都司法書士会・京都府行政書士会所属

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