相続登記

土地は亡くなった人の名義のまま売却できる?土地売却の流れについて

2025.07.29

故人の財産を相続した結果、土地を所有する場合もあります。そしてその土地の名義が亡くなった人のままで、「このまま売却ってできるの?」と考える人もいるかもしれません。

日本の民法においては、一般的に相続登記が義務付けられています。そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • 亡くなった人の名義のままで土地は売却できるのか
  • 亡くなった人の所有していた土地を売却する方法
  • 相続登記をするまでの流れ
  • 相続登記によって名義変更した土地を売却する流れ

記事の後半では、亡くなった人の土地を相続登記をしないリスクについても取り上げます。すでに土地を相続している方はもちろん、近いうちに相続する予定のある人も、ぜひ最後までご覧ください。

1.亡くなった人の名義のままで土地は売却できない

原則として、土地を亡くなった人の名義のままで売却することは認められていません。そもそも不動産の取引において、登記が必要な理由は権利関係を明確に示すためです。

その土地で暮らしているからといって、必ずしも所有者であるとは限りません。このように不動産の性質上、誰が所有者かを登記なくして判断するのは難しいのです。

たとえばAさん名義の土地をBさんが相続し、名義変更せずにCさんへ売却した場合、登記上の権利移転が「A→C」になってしまいます。正しい流れにならないため、きちんと「A→B」への相続登記も済ませないといけません。

土地を相続してから3年以内に相続登記をしない場合、法律によって10万円以下の過料が科される恐れもあります。

関連記事:土地を亡くなった人の名義のまま放置するリスクは?相続登記の方法を紹介

2.亡くなった人の所有していた土地を売却するには

亡くなった人の所有していた土地を売却するには、相続する人を決める必要があります。その話し合いを経てから、相続登記に進むのが基本的な流れです。遺産分割協議や相続登記の種類について解説します。

2-1.遺産分割協議で土地の所有者を決める

被相続人が亡くなったとき、まず最初に遺言の有無を確認してください。遺言が見つからないのであれば、遺産分割協議で土地の所有者を決めます。

遺産分割協議書の作成では、相続人全員の同意が必要です。財産の状況を調査したうえで、誰が土地を引き継ぐかを慎重に話し合いましょう。

2-2.土地の相続登記をする

遺言や遺産分割協議の結果、自分が土地を相続する際には登記の申請をします。しかし自分一人が所有することもあれば、ほかの相続人と共有となるケースもあるでしょう。ここでは単独名義と共有名義に分けて、申請方法を紹介します。

2-2-1.おすすめは単独名義で登記

土地を最終的に売却したいのであれば、単独名義での登記がおすすめです。自分自身が自由に土地を管理・処分できるので、売却時の障壁がほとんどなくなります。共有名義と比べても、スムーズに契約を結べるようになるでしょう。

一方でローンを完済していない場合、相続した人が一人で負担するといったデメリットもあります。ローンの組み方にもよりますが、土地を売る際には売却代金も含めて完済できるようにするのが原則です。こうした責任を、自分一人で背負わないといけません。

2-2-2.共有名義での登記も可能

土地の相続において、ほかの相続人とともに所有することも可能です。一般的に共有名義と呼ばれており、持分に応じてどこまでの範囲を使用できるかが変わります。

共有名義は出費の負担が軽減されるメリットはあるものの、売却(処分)するには共有者全員の同意を得ないといけません。誰か一人が反対したら処分が認められないため、単独名義と比べると売却のハードルが上がります。

3.相続登記をするまでの流れ

土地の相続登記をする流れを簡潔にまとめると、以下のとおりです。

  1. 土地の価格の査定
  2. 相続税の確認
  3. ほかの税金の確認
  4. 相続登記の申請

特に税金のシステムが複雑であるため、制度の内容をしっかりと押さえてください。

3-1.土地の価格を査定してもらう

まずは土地の状態を具体的に査定してもらう必要があります。登記事項証明書が保管されている場合は内容を確認し、ないときは法務局で入手してください(オンラインでの申請も可能)。

土地の価格は売却時だけではなく、登録免許税や固定資産税の算定の基礎にもなります。司法書士などに依頼し、正確な数値を出せるようにしましょう。

3-2.相続税の有無について確認する

続いて、相続税の有無について調べます。相続税は「3,600万円+(600万円×法定相続人数)」の数値を超えなければ、非課税の対象となります。

「法定相続人数」は相続全体の話であるため、土地を単独で所有したとしても、ほかに相続人が2人いる場合は算定に含みます。非課税枠をオーバーする際には、被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内に確定申告をしなければなりません。

3-3.ほかにかかる税金もチェックする

相続税以外にも、固定資産税や都市計画税、登録免許税といった税金が発生します。固定資産税と都市計画税については、仕組みが似ているので表でまとめましょう。

税の名目計算方法住宅用地の特例
固定資産税固定資産税評価額×1.4%200㎡以下:税額が6分の1軽減200㎡超:税額が3分の1軽減
都市計画税固定資産税評価額×0.3%200㎡以下:税額が3分の1軽減200㎡超:税額が3分の2軽減

登録免許税の計算方法は、相続の場合が「固定資産税評価額×0.4%」です。

3-4.遺産分割協議後に相続登記をする

税金のチェックまで完了し、遺産分割協議を経たら相続登記を申請しましょう。主に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 登記申請書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡までわかるもの)
  • 被相続人の住民票除票
  • 相続人全員分の戸籍謄本および住民票の写し
  • 相続人全員分の印鑑証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 不動産の登録事項証明書
  • 遺産分割協議書

司法書士に依頼すると、ほとんどの書類を代理で取得してくれます。しかし遺産分割協議書については、相続人全員の署名捺印が必要であるため、自分自身で対応しなければなりません。

関連記事:【ステップ別】相続登記の手続きの流れとは?必要な書類も解説

4.相続登記によって名義変更した土地を売却する流れ

名義変更が無事に完了したら、次に土地の売却手続きをおこないます。どういった流れで手続きを進めればよいかを簡潔にまとめます。

4-1.不動産会社と媒介契約を結ぶ

まずは不動産会社に赴き、土地の価格を査定してもらいます。主に机上査定と訪問査定がありますが、より正確性を求めるのであれば訪問査定がおすすめです。

査定してもらう前に、大体の相場を自分自身でも調べてみるとよいでしょう。加えて複数の不動産会社に査定を依頼すれば、どこに依頼すればよいかも判断できます。結果が出たら、査定内容に最も納得した不動産会社と媒介契約を結びましょう。

4-2.購入希望者と売買契約を結ぶ

不動産会社と媒介契約を結んだあとは、土地を購入してくれそうな人を探します。広告を出した際には、いつ内覧者が来ても問題ないように整備(建物もあるときは部屋の片付け)をしてください。

購入希望者が現れたら、不動産会社の宅建士によって重要事項説明をします。重要事項説明書や契約約款に、売主と買主の双方が署名捺印したタイミングで売買契約が締結されます。

4-3.【共有の場合】引渡し時に現金分割をする

共有となっている土地を売却したら、一般的に換価分割といった方法が採られます。換価分割は現金分割の一種であり、売却して手に入れたお金を相続人同士で分け合うことです。

分割方法は、相続人全員で作成した遺産分割協議書に基づきます。遺産分割協議書の内容を無視し、ほかの相続人に金銭を譲渡した場合、贈与税が課せられる可能性もあるため注意してください。

5.相続した土地の相続登記をしないことによるデメリット

相続登記をしないと、土地を売却できない以外にも以下のようなデメリットを引き起こしかねません。

  • 土地を処分する難易度が上がる
  • 名義変更がどんどん複雑になる
  • 相続人同士で争いが起こりやすくなる

それぞれ解説します。

5-1.土地を処分する難易度が上がる

相続登記を放置し続けるデメリットの一つは、処分する難易度が上がることです。処分には売却以外にも、贈与や土地信託といった行為が挙げられます。

これらの手続きに関しても、どのように移転したかを登記で示さないといけません。自分だけではなく、土地を譲渡した先にも迷惑をかける恐れがあります。

5-2.名義変更がどんどん複雑になる

相続登記を長きにわたって放置していると、名義変更もどんどん複雑になります。一般的に土地は、「A→B→C…」のように売却や相続で譲渡され続けるものです。

一人が相続登記を怠ることで、自分よりあとに譲渡した人が手続きで多大な負担を抱えてしまいます。Bの登記を省略して「A→C」に移す方法もありますが、特別な要件を満たさない限りは認められません。後のトラブルにも発展しうるため、自分名義の登記は必ず終わらせましょう。

5-3.相続人同士で争いが起こりやすくなる

土地の登記がなされていないと、外部に対して所有権を証明できません。第三者が先に登記を済ませたら、所有権は自分にあると主張できなくなります。

相続人のみならず、全く無関係の人に所有権が渡る恐れもあるので、なるべく早く登記をしないといけません。

関連記事:【相続で揉める家族の特徴13選】揉める原因や対策も解説

5-4.相続登記義務化により過料が発生する

2024年4月1日から、相続登記が法律で義務化されました。相続により不動産の所有権を取得した方は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

正当な理由なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

関連記事:相続登記の義務化による罰則・過料とは?罰則を受けないための方法も解説

5-4-1.過料は義務以前に相続した土地も対象

相続登記の義務は、2024年4月1日以前に相続した土地にも適用される点にも注意が必要です。相続した土地で未登記のものは、2027年3月31日までに手続きを完了する必要があります。

以上より、相続登記を怠ると過料の対象となるだけでなく、将来的な不動産の売却や相続手続きで問題が生じる可能性があるため、早めの対応をおすすめします。

関連記事:過去の相続分は相続登記義務化の対象?過料や登記期限などを徹底解説

6.土地の名義変更は司法書士への相談がおすすめ

土地の名義変更は、複雑かつ専門的な知識が求められます。不動産の知識に自信のある人も、無理をせずに登記のプロである司法書士を頼ったほうが賢明です。

司法書士であれば登記申請の不備も防げる以外にも、スピーディーに手続きしてくれます。必要書類の作成および収集であれば、代理できるのも強みです。まずは最寄りの司法書士に訪問し、どのような手続きが必要になるかを相談してみてください。

7.まとめ

繰り返しになりますが、相続した土地は亡くなった人の名義のままでは売却できません。売却するかしないかにかかわらず、登記をしないとそもそも所有権を第三者に対抗できなくなります。司法書士に相談したうえで、必要な手続きを採るようにしましょう。

土地を売却するとなれば、不動産会社との媒介契約や買主との売買契約も必要です。複雑な手続きが進みますが、自分一人で悩まずに司法書士や宅建士といったプロにアドバイスを求めてください。

司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。

監修者 池部 翔司法書士・行政書士

司法書士法人・行政書士鴨川事務所 代表

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京都司法書士会・京都府行政書士会所属

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