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相続した不動産の名義変更を自分でする際の手順やポイント・費用
2024.10.18

不動産を相続した際、「費用を抑えるために自分で名義変更(相続登記)をおこないたい」「不動産の名義変更はどのような手順で進めればよいのか」とお悩みではありませんか?2024年4月からの相続登記義務化に伴い、正当な理由なく放置すると過料の対象となるため、早めの対応が必要です。
そこでこの記事では、相続した不動産の名義変更が必要な理由や、自分で進める7つの手順、失敗しないためのポイントを詳しく解説します。
記事の後半では、不動産の名義変更を自力で対応できるケースと司法書士へ依頼すべきケースの判断基準や費用相場もまとめました。
ご自身の状況に合わせた最適な進め方を見つけ、滞りなく手続きを完了させるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
1.相続した不動産の名義変更(相続登記)が必要になる理由
不動産を相続した際は、名義変更(相続登記)をおこなう必要があります。ここでは、相続登記が必要となる理由を以下の4つに分けて解説していきます。
- 相続した不動産の所有者が誰かを客観的に証明できる
- 相続した不動産は名義変更しないと売却が困難になる
- 相続登記をしないと権利関係が複雑になる可能性がある
- 相続登記の義務化により放置すると過料の対象になる
それぞれ解説します。
1-1.相続した不動産の所有者が誰かを客観的に証明できる
相続した不動産の所有者が誰かを客観的に証明できるのが、相続登記をおこなう最大の理由です。
相続が発生しても相続登記をしなければ、登記簿上の所有者は亡くなった方のままになります。この状態が続くと、不動産を担保に融資を受けたり、固定資産税の通知を正しく受け取ったりする際に支障が出る可能性が高いです。また第三者との取引の場面でも、自分が正当な権利者であると主張しにくくなります。
相続登記を済ませれば、誰が正式な所有者であるかを第三者に対しても明確に示せます。
1-2.相続した不動産は名義変更しないと売却が困難になる
相続した不動産は、名義変更をしないと売却が困難になるのが実情です。
不動産を売却する際は、登記簿上の所有者と売主が一致していなければ契約を進められません。被相続人の名義のままでは、たとえ相続人であっても買主に対して正式な売主として認められないのです。
相続した不動産を手放したくなっても、相続登記を済ませていない場合、原則として売却時の所有権移転登記ができないため、買主との契約や決済を進めることが難しくなります。将来的に不動産を売る可能性が少しでもあるなら、早めに名義変更を済ませておくことをおすすめします。
1-3.相続登記をしないと権利関係が複雑になる可能性がある
相続登記をしないでいると、時間の経過とともに権利関係が複雑になる可能性があります。相続登記が済んでいない不動産は、遺産分割協議をおこなう場合、相続人が増えるほど全員の合意形成が難しくなる可能性があるのです。
相続人調査を進めていくと、行方がわからない相続人や、話し合いに応じない相続人が出てくるケースも少なくありません。世代を重ねるほど相続人の関係も薄くなり、遺産分割協議自体が成立しにくくなるでしょう。
権利関係が複雑になる前に、早めに相続登記を済ませておくことが大切です。
1-4.相続登記の義務化により放置すると過料の対象になる
相続登記の義務化により、正当な理由なく放置していると過料の対象になる可能性があります。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をおこなわなければなりません。期限内に手続きをしないと、正当な理由なく申請義務に違反した場合、10万円以下の過料の対象となります。
相続登記の義務化は、2024年より前に発生した相続で放置されている不動産にも適用される点に注意が必要です。過去に相続した不動産についても対象となるため、早めに名義変更の準備を進めましょう。
関連記事:相続登記の義務化による罰則・過料とは?罰則を受けないための方法も解説
2.相続した不動産の名義変更(相続登記)を自分でする際の手順

相続登記を自分でおこなう際は、必要な手順を正しい順番で進めることが重要です。大まかな流れは、以下の7点です。
- 登記簿謄本を取得し現在の所有者を確認する
- 相続人を確定する
- 各種証明書を取得する
- 必要書類を作成する
- 必要書類を全て揃えたうえで書類に応じて署名捺印をおこなう
- 法務局に登記申請書と必要書類を提出する
- 登記完了後に登記事項証明書で確認する
順を追って解説します。
2-1.①登記簿謄本を取得し現在の所有者を確認する
相続登記で最初におこなうべきことは、登記簿謄本を取得して現在の所有者を確認する作業です。登記事項証明書は法務局窓口やオンライン請求で取得できます。登記情報提供サービスでは登記情報を確認できます。
登記簿謄本を確認すると、不動産の所在地や地番、現在の名義人などの情報が正確にわかります。あわせて抵当権などの記載がないかも、この段階でチェックしておくと安心です。
「不動産の名義人が被相続人と一致しているか」を必ず確認してから、次の手続きに進みましょう。
2-2.②相続人を確定する
相続登記を進めるには、まず相続人を正確に確定させる必要があります。被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をすべて取り寄せ、法定相続人が誰であるかを漏れなく調べなければなりません。
2024年3月から、戸籍の広域交付制度が開始され、本籍地が異なる戸籍謄本でも、最寄りの市区町村窓口でまとめて請求できるようになりました。
ただし、兄弟姉妹や甥・姪などの戸籍を請求する場合など、一部対象外となるケースもあるため注意が必要です。
まれに、これまで知らなかった子どもや養子縁組が判明するケースもあります。この段階で相続人を見落とすと、あとで作成する遺産分割協議書そのものが無効になりかねません。
相続人を確定させないまま手続きを進めると、あとで登記のやり直しが必要になる場合があるため注意しましょう。
2-3.③各種証明書を取得する
相続人が確定したら、相続登記の手続きに必要な各種証明書を取得します。具体的には、以下のような書類が必要です。
- 被相続人の戸籍謄本や住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書
- 不動産の固定資産評価証明書など
証明書によっては取得できる役所が限られていたり、発行までに時間がかかったりするものもあります。とくに本籍地が遠方にある場合は、取り寄せに数週間かかることもあるでしょう。
手続きを滞りなく進めるためにも、必要な書類を早めにリストアップして順番に取得していきましょう。
2-4.④必要書類を作成する
各種証明書の取得と並行して、登記申請に必要な書類を自分で作成していきます。主に以下のような登記関係書類の作成が必要です。
- 遺産分割協議書
- 相続関係説明図
- 登記申請書
これらの書類は、記載内容に不備があると法務局で受理されず、修正のためにやり取りが発生することもあります。作成に慣れていない場合は、法務局が公開している記載例を参考にすると進めやすいです。
ここでは、それぞれの書類の作成ポイントについて詳しく見ていきましょう。
2-4-1.遺産分割協議書を完成させる
必要書類作成の第一歩は、相続人全員の合意内容をまとめた遺産分割協議書を完成させることです。
遺産分割協議書には、誰がどの不動産をどのような割合で相続するのかを、具体的かつ明確に記載しなければなりません。記載内容に誤りがあると、登記申請が受理されない原因になります。
必要に応じて、不動産以外の財産についても記載しておくことで、後日のトラブル防止につながる場合があります。
作成後は相続人全員から実印での署名捺印をもらい、印鑑証明書とあわせて保管しておきましょう。
2-4-2.相続関係説明図を作成する
遺産分割協議書とあわせて、被相続人と相続人の関係を図で示した相続関係説明図も作成します。相続関係説明図とは、戸籍謄本の内容をもとに、家系図のような形式で被相続人と相続人のつながりを整理したものです。
相続関係説明図を提出すると、法務局に提出した戸籍謄本の原本を返却してもらえるという利点もあります。原本が返却されれば、預金の解約など、ほかの相続手続きにも同じ戸籍謄本を使い回せます。
手書きでもパソコンでの作成でも構わないため、正確な情報を記載しましょう。
2-4-3.登記関係書類を作成する
最後に、法務局へ提出する登記申請書などの登記関係書類を作成します。
登記申請書には、登記の目的や不動産の表示、相続人の住所氏名などを正確に記入する必要があります。また不動産の表示は、登記事項証明書の内容を確認し、地番や地目などを正確に記載しなければなりません。
決まった書式があるため、法務局のホームページで公開されている記載例を参考にしながら作成すると安心です。
参考:商業・法人登記申請書の様式及び記載例について|京都地方法務局
記入方法に不安がある場合は、法務局の相談窓口を利用するのもよいでしょう。
2-5.⑤必要書類を全て揃えたうえで書類に応じて署名捺印をおこなう
必要書類がすべて揃ったら、それぞれの書類に応じて相続人全員の署名捺印をおこないます。遺産分割協議書には実印での捺印が必要ですが、書類によっては認印で構わない場合もあります。
押印箇所を誤ったり、捺印を忘れたりすると、あとから相続人に再度依頼する手間が発生しかねません。とくに相続人が遠方に住んでいる場合は、書類のやり取りに日数がかかる点も考慮しましょう。
書類の提出前に、押印漏れがないかを一つずつ丁寧に確認しておきましょう。
2-6.⑥法務局に登記申請書と必要書類を提出する
署名捺印が済んだら、不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請書と必要書類一式を提出します。提出方法には、窓口へ直接持参する方法のほか、郵送やオンライン申請といった選択肢もあります。
申請書に不備があると、法務局から連絡が入り補正を求められる場合があるため、時間に余裕を持って提出しましょう。補正の連絡に気づかずに放置すると、申請自体が取り下げになってしまうこともあるため、注意が必要です。
登記が完了するまでの期間は、法務局の混雑状況にもよりますが、おおむね1〜2週間程度です。
2-7.⑦登記完了後に登記事項証明書で確認する
登記の申請が完了したら、最後に登記事項証明書を取得して内容を確認しましょう。登記事項証明書は、法務局の窓口やオンラインの請求サービスから取得でき、手数料は数百円程度です。
証明書に記載されている所有者名や住所に誤りがないかを、必ず自分の目でチェックしてください。もし記載に誤りが見つかった場合は、すみやかに法務局へ相談しましょう。
ここまで確認できれば、相続登記はすべて完了となります。
3.相続した不動産の名義変更(相続登記)を自分でする際のポイント
相続登記を自分でする際は、手続きをスムーズに進めるために以下5つのポイントを押さえておきましょう。
- 相続する不動産を事前に確認しておく
- 相続人を早めに確定して全員と連絡を取る
- 必要書類を早めに準備する
- 遺産分割協議書は不備がないよう作成する
- 登記申請前に必要書類や記載内容を確認する
相続登記は専門的な知識が必要な手続きであるため、思わぬところでつまずいてしまう方も少なくありません。一つずつ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
3-1.相続する不動産を事前に確認しておく
相続登記をスムーズに進めるには、相続する不動産の内容を事前に確認しておく必要があります。固定資産税の納税通知書や名寄帳を確認すると、被相続人が所有していた不動産を漏れなく把握できます。
把握が不十分なまま手続きを進めると、あとから別の不動産が見つかり、再度手続きが必要になることもあるでしょう。共有名義になっている不動産や、遠方の土地が漏れやすいので注意してください。
相続財産をすべて洗い出してから、相続登記の計画を立てることをおすすめします。
3-2.相続人を早めに確定して全員と連絡を取る
相続登記の手続きを円滑に進めるには、相続人を早めに確定させて全員と連絡を取っておくことが重要です。
相続人の中には、疎遠になっている親族や、住所がわからない人が含まれているケースもあります。連絡が遅れるほど、遺産分割協議の開始も遅くなり、手続き全体が長引く原因になりかねません。
連絡先がわからない相続人がいる場合は、戸籍の附票を取り寄せて住所を調べる方法もあります。早い段階で相続人全員に連絡を取り、協力を仰いでおきましょう。
3-3.必要書類を早めに準備する
相続登記をスムーズに進めるために、必要書類を早めに準備しておきましょう。戸籍謄本や印鑑証明書などは、取得できる窓口が限られていたり、発行までに数日かかったりすることもあるためです。
とくに本籍地が遠方にある場合は、郵送での取り寄せに時間がかかる点にも注意しましょう。必要書類の一覧をあらかじめリスト化しておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。
余裕を持って書類集めを始めておくと、手続き全体を予定どおりに進めやすくなります。
3-4.遺産分割協議書は不備がないよう作成する
遺産分割協議書は、不備がないよう慎重に作成してください。記載内容に誤りがあったり、相続人の署名や捺印が抜けていたりすると、法務局で書類を受理してもらえないためです。
遺産分割協議書の作成後は、相続人全員で内容を読み合わせて確認しておくと安心です。不動産の表示は、登記簿謄本の記載どおりに正確に書き写すことも忘れないでください。
不安な場合は、司法書士などの専門家にチェックしてもらう方法も有効です。
関連記事:遺産分割協議書を作成しないとどうなる?起こりうる6つのトラブル例
3-5.登記申請前に必要書類や記載内容を確認する
登記申請書を提出する前には、必要書類や記載内容に漏れや誤りがないかを最終確認しておきましょう。書類に不備があると、法務局から補正の連絡が入り、手続きが完了するまでの期間が延びてしまいます。
書類の提出前に、氏名や住所、不動産の表示などの記載内容を一つずつ見比べておくと安心です。押印や書類の綴じ方など、細かい形式面まで見直しておくとより確実です。
すべての確認が終わってから、余裕を持って法務局へ申請書類を提出しましょう。
4.相続した不動産の名義変更(相続登記)を自分でできるケース・司法書士に依頼すべきケース

相続登記を自分でできるかどうかは、相続人の数や不動産の状況、書類作成にかけられる時間によって変わります。手続きが単純なケースであれば、専門知識がなくても時間をかければ自分で対応できるでしょう。
一方で、相続関係が複雑だったり、相続人同士の意見がまとまらなかったりする場合は、司法書士に依頼したほうが結果的にスムーズです。
ここでは、相続登記を自分で進めやすいケースと、専門家への依頼を検討すべきケースをそれぞれ紹介します。
4-1.相続した不動産の名義変更を自分で進めやすいケース
相続登記を自分で進めやすいのは、以下のようなケースに該当するときです。
- 相続人が少なく関係性が明確な場合
- 遺産分割協議がスムーズにまとまっている場合
- 相続する不動産が少なく権利関係が単純な場合
- 必要書類の収集や申請書作成を自分で進められる場合
こうした条件がそろっていないと、自分で進めるのは想像以上に大変になるでしょう。詳しく解説します。
4-1-1.相続人が少なく関係性が明確な場合
相続人が少なく関係性が明確な場合は、自分で相続登記を進めやすいといえます。相続人が配偶者と子どもだけといったシンプルな構成であれば、戸籍調査や書類のやり取りにかかる手間も少なくて済むでしょう。
また、全員が近くに住んでいて、日頃から連絡を取り合える関係であれば、署名捺印の依頼もスムーズです。反対に相続人が多かったり、疎遠な親族が含まれていたりすると、連絡や調整だけで多くの時間を取られやすいためです。
相続人の人数と関係の把握のしやすさは、手続きの難易度を大きく左右する要素といえます。
4-1-2.遺産分割協議がスムーズにまとまっている場合
遺産分割協議がスムーズにまとまっている場合も、自分で相続登記を進めやすいケースの一つです。
相続人全員がすでに分け方に納得していれば、あとは合意内容を遺産分割協議書に落とし込むだけで済みます。話し合いの段階で対立が起きていなければ、書類の作成や署名捺印の依頼も比較的短期間で終えられるでしょう。
反対に少しでも意見の食い違いが残っている状態で進めると、あとから遺産分割協議書の作り直しが必要になることもあります。
遺産分割協議が難航しているかどうかは、相続登記を自分で進める前に必ず確認しておきたいポイントです。
4-1-3.相続する不動産が少なく権利関係が単純な場合
相続する不動産が少なく権利関係が単純な場合は、自分で名義変更を進めやすくなります。
相続する不動産が自宅のみといった一件だけのケースであれば、必要な調査や書類の量もそれほど多くありません。共有名義や抵当権の設定がなく、境界などのトラブルもない土地であれば、手続きはより簡単に進むでしょう。
一方、境界確定などの複雑な事情がある土地は、専門家でなければ判断が難しい場面も出てくるでしょう。
不動産の数と権利関係の複雑さは、自分で対応できるかどうかを見極める重要な材料になります。
4-1-4.必要書類の収集や申請書作成を自分で進められる場合
必要書類の収集や申請書作成を自分で進められる場合も、自分で相続登記をしやすいケースです。
平日に役所や法務局へ行く時間を確保でき、書類の記入や役所とのやり取りを苦にしない方であれば、無理なく手続きを進められるでしょう。また、パソコンでの書類作成に慣れている方であれば、法務局の記載例を参考にしながら効率よく作業できます。
時間と根気をかけられるかどうかが、自分で進められるかの分かれ目になるでしょう。
4-2.相続した不動産の名義変更を司法書士へ依頼したほうがよいケース
相続登記を司法書士へ依頼したほうがよいのは、以下のような相続関係が複雑だったり、話し合いが難航していたりするケースです。
- 兄弟姉妹や甥・姪などが相続人になる場合
- 遠方の法務局で登記申請が必要な場合
- 相続人と連絡が取れない場合
- 遺産分割協議がまとまらない場合
- 過去の相続登記がされておらず相続関係が複雑な場合
- 相続する不動産の数が多い場合
一つずつ見ていきましょう。
4-2-1.兄弟姉妹や甥・姪などが相続人になる場合
兄弟姉妹や甥・姪などが相続人になる場合は、司法書士への依頼を検討したほうがよいでしょう。
このケースでは相続人の人数が増えやすく、普段から交流のない親族が含まれることも珍しくありません。連絡先の調査や戸籍の取り寄せに手間がかかるうえ、話し合いをまとめるのにも時間がかかりやすくなります。
遺留分をめぐる主張が出てくる可能性もあり、話し合いが感情的になりやすい点にも注意が必要です。相続関係が広がるほど、相続登記を自分だけで対応する負担は大きくなると考えておきましょう。
4-2-2.遠方の法務局で登記申請が必要な場合
遠方の法務局で登記申請が必要な場合も、司法書士への依頼を検討したいケースです。不動産がある地域を管轄する法務局へ出向くとなると、平日に何度も足を運ぶのは現実的に難しいでしょう。
郵送やオンライン申請という方法もありますが、不備があった際のやり取りに時間がかかりやすくなります。有給休暇を使って移動するだけでも、精神的にも体力的にも大きな負担になるでしょう。
遠方に不動産がある場合は、現地の事情に詳しい司法書士に任せたほうが安心です。
4-2-3.相続人と連絡が取れない場合
相続人と連絡が取れない場合は、自分だけで手続きを進めるのが難しく、司法書士への依頼が現実的な選択肢になります。
住所がわからない相続人がいると、戸籍の附票などから居所を調べる作業が必要になるでしょう。それでも見つからない場合は、不在者財産管理人の選任など、家庭裁判所を通した手続きも検討しなければなりません。
こうした専門的な手続きは、司法書士のサポートを受けたほうがスムーズに進みます。
関連記事:相続人と連絡が取れないときの相続の進め方・対処法を徹底解説
4-2-4.遺産分割協議がまとまらない場合
遺産分割協議がまとまらない場合も、司法書士への依頼を検討すべきケースです。
相続人同士の意見が対立していると、話し合いが長期化し、感情的なもつれに発展することも少なくありません。感情的な対立が深まる前に第三者へ相談を進めておくと、対策を立てやすく、その後の関係修復もしやすくなるでしょう。
話し合いが平行線をたどっている場合は、早めに専門家へ相談するのが得策です。
4-2-5.過去の相続登記がされておらず相続関係が複雑な場合
過去の相続登記がされておらず相続関係が複雑な場合は、司法書士への依頼を強くおすすめします。
何世代も前から名義変更がされていないと、相続人の数が数十人規模にふくれあがっていることも珍しくありません。戸籍の収集だけでも膨大な作業量になり、個人で対応するのはかなりの負担になるでしょう。数十人の相続人のうち一人でも連絡が取れなければ、遺産分割協議そのものが成立しません。
数次相続が絡む案件は専門知識が欠かせないため、早い段階で司法書士に相談してください。
4-2-6.相続する不動産の数が多い場合
相続する不動産の数が多い場合も、司法書士への依頼を検討したほうがよいです。
土地や建物が複数の市区町村にまたがっていると、それぞれの評価額を調べたり、複数の法務局とやり取りしたりする手間が発生します。登録免許税の計算も不動産ごとにおこなう必要があり、ミスが起きやすくなるでしょう。
評価証明書だけでも複数の役所から取り寄せる必要があり、単純な作業の積み重ねが大きな負担になります。不動産の数が多いほど作業量は増えるため、司法書士に任せたほうが確実です。
5.相続した不動産の名義変更(相続登記)を自分でするメリット・デメリット
相続登記を自分でするかどうかは、メリットとデメリットの両面を理解したうえで判断するのが賢明です。ここでは、自分で名義変更をおこなう際のメリットとデメリットをそれぞれ整理します。
5-1.相続した不動産の名義変更をを自分でするメリット
相続登記を自分でするメリットは、以下の3つです。
- 司法書士への依頼費用を抑えられる
- 自分の都合に合わせて手続きを進められる
- 相続手続きの流れや財産状況を把握できる
詳しく解説します。
5-1-1.司法書士への依頼費用を抑えられる
司法書士への依頼費用を抑えられるのは、相続登記を自分でおこなう最大のメリットです。
司法書士に依頼すると、一般的な案件では数万円〜10万円程度の司法書士報酬が発生します。一方自分で手続きをすれば、この報酬部分がまるごと不要になり、実費のみで名義変更を完了させられます。
相続する不動産の数が多いほど、司法書士報酬も高くなる傾向があるため、その差はさらに広がります。少しでも費用を抑えたいと考えている方にとっては、大きな魅力といえるでしょう。
5-1-2.自分の都合に合わせて手続きを進められる
自分の都合に合わせて手続きを進められるのも、相続登記を自分でする大きな利点です。
司法書士に依頼すると、事務所の営業時間や担当者のスケジュールに合わせなければならない場面も出てきます。ですが自分でおこなえば、平日の夜や休日の空き時間を使って、少しずつ書類を準備することも可能です。
急ぎで進めたいときも、書類さえそろえば自分のタイミングで法務局に提出できます。
仕事の合間を縫って手続きを進めたい方にとって、時間の融通が利く点は大きなメリットになるでしょう。
5-1-3.相続手続きの流れや財産状況を把握できる
相続手続きの流れや財産状況を把握できるのも、相続登記を自分でおこなうメリットの一つです。戸籍謄本や証明書を自分で集める過程で、被相続人が残した財産の全体像を自然と把握できるようになります。
手続きの流れを理解しておくと、将来ほかの相続が発生した際にも落ち着いて対応しやすくなるでしょう。預金の相続手続きなど、ほかの財産の名義変更にも同じ知識が役立つ場面が出てくるはずです。
相続に関する知識を実践的に身につけたい方にとって、貴重な経験になるといえます。
5-2.相続した不動産の名義変更を自分でするデメリット
相続登記を自分でするデメリットとして、以下の4点が挙げられます。
- 必要書類の収集に時間や手間がかかる
- 登記申請書や添付書類の作成に専門知識が必要になる
- 書類不備によって手続きが長引く可能性がある
- 相続人間の調整を自分でおこなう必要がある
それぞれ解説します。
5-2-1.必要書類の収集に時間や手間がかかる
必要書類の収集に時間や手間がかかるのは、相続登記を自分でおこなう際の代表的なデメリットです。
被相続人が転籍や結婚を繰り返していた場合、本籍地の異なる複数の役所から戸籍を取り寄せなければならないこともあります。本籍地が遠方にある場合は、郵送でのやり取りに数週間かかることも珍しくありません。平日の日中しか対応していない役所も多く、有給休暇を使わざるを得ないケースもあります。
仕事や子育て、家事の合間に書類集めを進めるのは、想像以上に負担が大きいといえるでしょう。
5-2-2.登記申請書や添付書類の作成に専門知識が必要になる
登記申請書や添付書類の作成に専門知識が必要になるのも、見逃せないデメリットです。
登記の目的や不動産の表示など、記載方法には一定のルールがあり、慣れていないと何度も書き直すことになりかねません。法務局の記載例を参考にしても、自分のケースに当てはめて判断するのは簡単ではないでしょう。不動産が複数ある場合や共有名義になっている場合は、記載方法がさらに複雑になるでしょう。
専門用語に苦手意識がある方にとって、書類作成は大きなハードルになります。
5-2-3.書類不備によって手続きが長引く可能性がある
書類不備によって手続きが長引く可能性があるのも、相続登記を自分でおこなうデメリットの一つです。法務局に申請書を提出したあと、記載内容に誤りが見つかると、補正のためのやり取りが発生します。補正には平日に法務局へ出向く必要が生じることもあり、そのぶん完了までの期間が延びてしまうでしょう。
また、補正の連絡に気づかず放置してしまうと、申請自体が取り下げになる可能性もあります。時間に余裕がない方にとっては、こうした手戻りが大きなストレスになりかねません。
5-2-4.相続人間の調整を自分でおこなう必要がある
相続人間の調整を自分でおこなう必要があるのも、無視できないデメリットです。遺産分割協議書を完成させるには、相続人全員から合意を取り付けなければならないためです。
意見の食い違いが生じた際にも、間に入って調整する役割を自分で担うことになります。とくに金銭の分配に関する話し合いは感情的になりやすく、関係がこじれる原因にもなりかねません。
第三者を挟まずに親族間の話し合いをまとめるのは、精神的な負担が大きい作業だといえるでしょう。
6.相続した不動産の名義変更(相続登記)を自分でする場合にかかる費用
相続登記を自分でする場合にかかる費用は、おもに登録免許税と各種証明書の取得費用です。
登録免許税は、不動産の固定資産税評価額に0.4パーセントをかけて算出され、たとえば評価額1,000万円の不動産なら4万円が目安になります。
戸籍謄本や住民票などの証明書取得には、1通あたり数百円程度(自治体により異なる)の実費がかかるでしょう。
自分で手続きをすれば司法書士への報酬は発生しないため、合計費用を数万円程度に抑えられる場合もあります。
7.相続した不動産の名義変更(相続登記)は司法書士への依頼がおすすめ
相続登記は、司法書士への依頼がおすすめです。司法書士であれば、相続関係の調査から書類作成、法務局への申請まで一括して任せられるため、時間や労力を大幅に節約できます。また、書類の不備による手戻りやトラブルのリスクも減らせるでしょう。
ここでは、司法書士に依頼する具体的なメリットと、費用相場について紹介します。
7-1.司法書士に依頼すると相続人や必要書類の調査を任せられる
相続登記を司法書士に依頼すると、相続人や必要書類の調査を任せられるのが大きなメリットです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取り寄せる作業は、専門知識がないと見落としが起きやすい部分でしょう。司法書士は、受任した業務に必要な範囲で職務上請求制度を利用して戸籍を取得できます。見落としがちな相続人の存在に気づいてもらえるのも、専門家に依頼する安心感といえるでしょう。
時間のかかる調査を任せられれば、自分は仕事や家庭のことに集中できるようになります。
7-2.司法書士に依頼すると登記申請まで一括して対応してもらえる
司法書士に依頼すると、登記申請まで一括して対応してもらえるのもメリットの一つです。遺産分割協議書の作成から登記申請書の記入、法務局への提出まで、すべての工程をまとめて任せられます。
また、書類に不備があった場合の補正対応も司法書士がおこなってくれるため、自分で法務局に出向く必要もありません。平日に何度も法務局へ足を運ぶ必要がなくなる点も、忙しい方にとって助かるポイントです。
相続登記の手続き全体をワンストップで完結させたい方にとって、大きな安心材料となるでしょう。
7-3.司法書士に依頼した場合の費用相場
司法書士に依頼した場合の費用相場は、おおむね6万円から10万円程度です。ただし、不動産の数や相続人の人数、遺産分割協議の有無によって金額は変動し、案件が複雑になるほど報酬も高くなる傾向があります。
また、加えて登録免許税や証明書取得の実費が別途かかる点も押さえておきましょう。戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を含めるかどうかでも、総額は大きく変わってきます。
複数の司法書士事務所から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較したうえで依頼先を選ぶのがおすすめです。
8.まとめ
相続登記は、所有権の証明や将来の売却だけでなく、過料を避けるためにも不可欠な手続きです。相続人が少なく権利関係が単純であれば自分で進めることも可能ですが、戸籍謄本の収集や登記申請書の作成には相応の手間と専門知識が求められます。
相続関係が複雑な場合や手続きに時間を割けない場合は、無理をせず司法書士へ依頼するのが確実な解決策です。自分で進めるメリット・デメリットをしっかり比較し、ご自身の状況に合わせた方法で早めに名義変更の手続きを進めていきましょう。
司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続登記をはじめ相続全般に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。










