遺産分割協議書での預金の分け方別文例集 | 正しい書き方とルール
相続した土地を10年放置してしまった!放置で生じるリスクや登記の注意点
2025.06.02

親の財産を相続するなかで、忘れやすいのが相続登記です。なかには土地を相続したものの、10年登記を放置してしまった人もいるでしょう。
相続登記のルールは2024年4月に改正され、放置し続けていると罰則が適用されるリスクもあります。この記事では、相続登記をしないことによるリスクとともに、具体的な手続きの方法を解説します。
1.土地を相続したら登記が必要

土地を相続した場合、登記が義務付けられています。しかし日常生活で登記する機会はそこまで多くないため、あまり意味を理解できない人もいるでしょう。まずは相続登記の基本的な定義を説明するとともに、法改正の内容を解説します。
1-1.相続登記とは
相続登記とは、相続で手に入れた不動産の登記名義人を自分に変更することです。不動産を取得する際には、基本的に登記をしなければなりません。登記がないと、家や土地が誰のものか判別できなくなるためです。
相続登記の手続きは、相続不動産を管轄する法務局でおこないます。
1-2.2024年4月に相続登記は義務となった
従来までは、相続登記をしなくても法的に罰則がありませんでした。しかし登記のない空き家が増えたことを背景として、2024年4月に義務となりました。
この法改正で特に変わった部分が、罰則が適用された点です。詳しくは後述しますが、経済的な負担が生じるリスクもあります。申請期限は、相続を知った日および不動産を取得したのを知った日から3年以内です。
2.土地を10年放置することで生じるリスク
土地を10年も放置した場合、以下のようなリスクが生じます。
- 罰則が適用される
- 土地の売買に支障をきたす
- 所有権を第三者に対抗できなくなる
- 土地を担保にできなくなる
- 土地が差し押さえられる恐れもある
具体的に解説していきます。
2-1.【2024年4月より】罰則が適用される
法改正で新たに生じうるリスクとして、罰則の適用が挙げられます。期間内に申請をしなかったときの罰則は、10万円以下の過料です。
過料は刑法に定められている罰金とは異なり、行政罰の一つです。仮に処分を下されたとしても、前科がつくわけではありません。
しかし余計な出費をしないためにも、相続登記を必ず期間内に終わらせてください。
2-2.土地の売買に支障をきたす
相続登記を忘れてしまうと、土地の売買は認められません。誰かに売却して金銭を得ようと考えていても、相続登記がなされていなければ手続きできなくなります。
土地を使う予定がないにもかかわらず、いつまでも所有していると固定資産税や維持費がかかります。売却したいと考えているのであれば、なるべく早めに登記を終わらせるのが無難です。
2-3.所有権を第三者に対抗できなくなる
相続登記をしないデメリットとして、所有権を第三者に対抗できなくなる点も挙げられます。
たとえば遺産分割協議の結果、自分自身が土地を相続したとしましょう。しかし相続人の一人が遺産分割協議の内容を無視して、土地全体を売却してしまいました。
土地を買い取った人が売主に所有権がないことを知らなかった場合、善意の第三者にあたります。さらに売主が登記を済ませてしまうと、その人に所有権を主張できなくなります。
2-4.土地を担保にできなくなる
相続登記を放置していると、土地を担保にできなくなる点にも注意が必要です。本来金融機関が土地を担保にお金を貸す際には、抵当権を設定します。抵当権を設定することで、万が一返済が滞ったときにも差し押さえしやすくなるためです。
抵当権の設定時において、相続登記が済んでいないとそもそも金融機関はお金を貸しません。相続人のなかには、生活に変化があってお金が必要になる人もいるかもしれません。しかしそのような事態になっても、相続登記をしないとお金が借りられなくなります。
2-5.土地が差し押さえられる恐れもある
相続登記をし忘れると、ほかの相続人の債権者に差し押さえられる可能性が高まります。遺産分割協議により、自身が土地全体の所有権を得たとしましょう。しかし登記をしていなければ、その事実は客観的にわかりません。
ほかの相続人が多額の借金を抱えていた場合、その債権者は相続財産に目を向けるでしょう。登記がされていない不動産も共有相続したと思い、当該相続人の持ち分を差し押さえるケースもあります。
今後の売却や担保の手続きにも支障が出るため、差し押さえられる前に登記を終わらせましょう。
3.土地を10年放置した場合に相続登記する流れ
仮に土地を10年放置していたとしても、相続登記の手続きは終わらせないといけません。具体的には、以下の流れで手続きをおこないます。
- 司法書士に相談
- 権利関係を調べる
- 遺産分割協議を終わらせる(していない場合)
- 登記申請書の作成
- 必要書類とともに提出
各プロセスのなかで、特に重要となるポイントを紹介しましょう。
3-1.司法書士に相談する
まずは司法書士に相談するのをおすすめします。司法書士は登記におけるプロであり、法務局に提出する書類も代わりに作成できます。経験豊富な人であれば、さまざまな観点からアドバイスを受けられるのもメリットです。
素人だけで完結させようとすると、不備が生じる可能性も高まります。申請を受理してもらえなかったり、追加で書類が必要になったりすれば、その分登記も遅れてしまいます。確実に登記を終わらせるためにも、早い段階から司法書士へ相談しましょう。
3-2.土地の権利関係について調べる
登記の申請をする前に、土地の権利関係を調べなければなりません。所有者名義(共有名義)は誰になっているか、面積についても確認してください。
これらの情報は、登記事項証明書に記載されています。自宅に保管している人は記載内容を確認し、ない場合は法務局に申請して新しく取得しましょう。申請手続きはオンラインでも可能であるため、時間がない方でも簡単に取得できます。
3-3.まだしていない場合は遺産分割協議をする
遺言がなく、遺産分割協議もまだしていない場合は、なるべく早めに終わらせるようにしましょう。遺産分割協議をする際には、相続人全員の参加が必要です。協議が終わったら、遺産分割協議書に相続人全員が署名捺印します。
3-4.登記申請書を作る
自分名義で土地を相続するのであれば、登記申請書を作成します。とはいえ司法書士に依頼すれば、代わりに作成してもらえます(署名は本人で)。具体的には担当の司法書士と連絡を取りながらスケジュールを確定させます。
3-5.必要書類を添付して提出する
登記の申請も、基本的には司法書士で代行してくれます。ただし印鑑証明書など、必要書類のなかには本人でないと集められないものもあるので、これらは自分自身で取得しましょう。
無事に登記が完了したら、法務局が発行する権利証を司法書士から受け取ります。今後別のタイミングで登記申請が必要な場合、権利証を使うので大事に保管しましょう。
4.10年放置された土地を相続登記するときの注意点

10年放置された土地を相続登記する際には、以下の注意点を押さえないといけません。
- 必要書類に漏れがないかチェックする
- 誰を登記名義人にするか吟味する
- 所有権が順次移転しているケースもある
- 土地に住み続けたとしても時効取得できない
詳しく解説します。
4-1.必要書類に漏れがないかチェックする
まず確認すべきポイントは、必要書類に漏れがないかです。司法書士に依頼すれば、ほとんどの場合は不備なく手続きを完了できるでしょう。
ただし司法書士でも、ミスが絶対起こらないとは言い切れません。手続きのなかで疑問に感じる部分があったら質問し、自身も協力しながらミスを防ぐようにしましょう。
4-2.誰を登記名義人にするか吟味する
相続登記においては、誰を登記名義人にするかじっくりと考える必要があります。とはいえ誰を登記名義人にしたほうがよいかは、家庭の事情によって大きく変わります。この判断についても、司法書士に一度相談してみるとよいです。
4-3.所有権が順次移転しているケースもある
父から譲り受けたはずの土地の名義人が、祖父になっているケースもまれにあります。「祖父→父(一次相続)」「父→自分(二次相続)」と順次移転しているにもかかわらず、父が登記をしていなかった状態です。
原則として「祖父→自分」に登記を変えることは認められていません。このような中間省略登記を認めてしまうと、権利を奪われる相続人が現れかねないためです。
一方で一次相続できる人が父親だけの場合、「祖父→自分」に名義を変えても権利を害される人はいません。このケースでは、例外的に中間省略登記が認められます。
4-4.土地に住み続けたとしても時効取得できない
相続した土地に住み続けたとしても、基本的には時効取得できません。取得時効の要件として、以下の3つが挙げられます。
- 所有の意思がある
- 平穏かつ公然の占有
- 一定期間占有する
相続で問題になるのが、所有の意思です。ほかに相続人がいた場合、不動産も原則として共有となります。誰か一人に所有権を持たせるときは、遺産分割協議を踏まないといけません。
遺言なしの場合で相続不動産を取得したいのであれば、遺産分割協議で相続人全員から同意を得る必要があります。
5.まとめ
たとえ土地を10年放置したとしても、相続登記は必要です。罰則のリスクがあるほか、売却や担保の設定においてもさまざまな制限がかかります。できる限り早く登記を済ませ、日常生活に支障をきたさないようにしましょう。
とはいえ登記申請を一人ですると、思わぬトラブルが発生する確率も高まります。余計な損失を招かないようにするためにも、プロの司法書士に相談したうえで手続きしてください。
司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、登記や相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。登記や相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。は大いにあるでしょう。事実はしっかりと明らかにし、そのうえで対策を講じることが大切です。










