遺産分割協議書での預金の分け方別文例集 | 正しい書き方とルール
【知らない間に相続人になっていた】やるべきことや対処法について
2025.09.09

ある日突然、あなたの元に何年も会っていない親族が負っていた借金の督促状が届くき、「なぜ私が?」とパニックになっていませんか?
実は、たとえ生前に縁を切っていた親族でも、戸籍上の繋がりがあり条件に当てはまる限り、あなたは「相続人」です。そのため、知らない間に相続人になっているケースが起こりうるのです。
そこでこの記事では、そんな「知らない間に相続人」になってしまった方のために、なぜそうなったのかという仕組みから、借金を背負わないための「相続放棄」という対処法まで、司法書士が徹底的に解説します。
知らない間に相続人になってしまい、どう対応すべきかわからず困っているという方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.なぜ、知らない間に相続人になったのか?

自分の知らない間に、相続人となったことを不思議に感じる人もいるでしょう。被相続人が亡くなった際、特定の要件を満たせば、自分には関係ないと思っていた人でも自動的に相続権を持つことになります。
ここでは、民法上の相続に関するルールを解説します。
1-1.法定相続人には「順位」がある
まず法定相続人には、被相続人との関係に応じて順位が存在します。
| 順位(被相続人との関係) | 配偶者と相続したときの相続分 |
| 第一順位(子) | 2分の1ずつ |
| 第二順位(直系尊属) | 配偶者:3分の2、直系尊属:3分の1 |
| 第三順位(兄弟姉妹) | 配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1 |
配偶者と子2人が相続したときは、「配偶者:2分の1、子:4分の1ずつ」相続分が与えられます。
1-2.先の順位の相続人が「相続放棄」すると次順位に相続権が移る
相続権は先の順位の相続人が相続放棄したとき、次順位の者に移るのが特徴です。たとえば子全員が相続放棄をしたら、相続権は第二順位である直系尊属に移ります。
相続放棄の申述が受理されたら、自動的に相続権が移動します。
1-3.知らない間に相続人になる典型的なケース
知らない間に相続人となっている典型的なケースは、主に以下の3つです。
- 疎遠だった叔父(叔母)の相続(甥・姪の立場)
- 離婚して会っていない親の相続
- 面識のない兄弟姉妹との相続
相続人となる具体的な要件について解説します。
1-3-1.ケース①疎遠だった叔父(叔母)の相続(甥・姪の立場)
知らない間に相続人となるケースの一つが、疎遠だった叔父や叔母の相続が発生した場合です。被相続人から見た子や直系尊属が相続放棄したら、相続権は兄弟姉妹(被相続人の子から見た叔父・叔母)に移ります。
一方で兄弟姉妹がすでに亡くなったとき、甥や姪が代襲相続人となります。このように甥や姪も、場合によっては相続権を持つことも押さえてください。
1-3-2.ケース②離婚して会っていない親の相続
幼い頃に両親が離婚し、その後何十年も会っていない親が亡くなった場合でも、戸籍上の親子関係がある限り、あなたはその親の第一順位の法定相続人となります。
離婚によって、夫婦間の関係は解消されますが、親子関係が法的に切れることはありません。そのため、たとえ一切の交流がなくても、法律上あなたは常に相続人としての権利と義務を負っているのです。
突然の死亡通知と共に、知らなかった借金の存在を知らされるケースも少なくありません。
1-3-3.ケース③面識のない兄弟姉妹の相続
ご自身の親に、前妻(夫)との間に子どもがいた場合など、あなたにとって面識のない異母・異父兄弟姉妹が亡くなった際に、あなたが相続人となるケースがあります。
異母・異父兄弟姉妹に、子や親といった先の順位の相続人がいない場合、第三順位である兄弟姉妹として、あなたが相続人となります。
親の再婚などで家族関係が複雑な場合、戸籍を調べるまで、自分に兄弟姉妹がいること自体を知らないケースもあります。
2.知らない間に相続人になっていたときにやるべきこと・やってはいけないこと
知らない間に相続人となっていた場合、「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を押さえる必要があります。それぞれ解説していきます。
2-1.知らない間に相続人になっていたらまずやるべきこと
知らない間に相続人となっていた場合、やるべきことは以下の2つです。
- 誰が亡くなったのか事実関係を確認する
- 故人の財産と借金を調査する
詳しく見ていきましょう。
2-1-1.誰が亡くなったのか事実関係を確認する
知らない間に相続人となっていたら、誰が亡くなったのか事実関係を確認しましょう。
たとえば父母が亡くなった場合、子は基本的に相続人となります。一方で父母がすでに死亡しており、そのあとに祖父母が亡くなったときに注意が必要です。本来相続人となるはずの父母が死亡しているため、その子が代襲相続人として相続権が移ります。
このように、亡くなった方を確認し、自身との関係性を理解しておくことが大切です。
2-1-2.故人の財産と借金を調査する
次に、自身が相続するかどうかを決めるべく、故人の財産と借金を調査しなければなりません。
相続は、故人の資産だけではなく負債も引き継ぎます。仮に被相続人が多額の借金を抱えていた場合、相続すると債権者から返済を要求されることになります。
こうした失敗をおかさないように、故人である被相続人の実家に督促状や借用書がないかを調べましょう。その際、法律的な知識がない素人だけで調査すると見落としが発生しやすくなるため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
2-2.絶対にやってはいけないこと:相続財産に手をつける
知らない間に相続人となった場合、故人の財産と借金の調査を済ませる前に相続財産に手をつけてはいけません。仮に故人が多額の借金を抱えていたとしても、相続放棄ができなくなってしまうためです。
具体的には、以下の行為がNGとなっています。
- 故人の預貯金を勝手に引き出した
- 故人の所有している不動産や車を売却した
- 借金や税金を故人の相続財産から支払った
- 財産的価値の高いものを形見分けした
- 遺産分割協議に参加した
相続放棄を視野に入れているのであれば、実家の遺品整理も積極的には関与しないほうが賢明です。
3.知らない間に相続人になっていたときの対処法

知らない間に相続人となってしまったときは、以下の対処法を講じる必要があります。
- 相続放棄する
- 遺産分割協議に応じる
- 遺産分割調停を申し立てる
手続きするうえで、どういった点に注意すべきかを押さえてください。
3-1.相続放棄する
故人に多額の借金があることが判明した場合や、相続トラブルに一切関わりたくない場合は、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをおこなうのが最も有効な対処法です。
相続放棄を選択する場合は、その他の親族に相続権が移る可能性があります。親族に迷惑をかけるリスクがあるため、可能であれば次順位の相続人に対して相続放棄した旨を伝えましょう。
関連記事:相続放棄は親戚に迷惑がかかる?迷惑をかけずに相続放棄する方法を解説
3-2.遺産分割協議に応じる
財産調査の結果、借金よりもプラスの財産が多いことが判明し、ご自身も相続人として遺産を受け取りたいと考える場合は、遺産分割協議に参加するのも一つの選択肢です。
遺産分割協議は、相続人全員の参加と合意がなければ成立しません。あなたが相続人である以上、あなたの同意なしに勝手に遺産を分けることはできないのです。
遺産分割協議に参加する場合は、ご自身の正当な相続分を主張し、遺産の分け方についてほかの相続人と話し合いをおこなうことになります。
3-3.遺産分割調停を申し立てる
当事者間での解決が困難な場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立ててください。この手段は、ほかの相続人が財産の内容を開示してくれなかったり、話し合いに全く応じてくれなかったりするなどのケースで有効です。
遺産分割調停では、裁判所の調停委員という中立的な第三者が間に入り、相続人全員の意見を聞きながら話し合いが円満に進むように調整してくれます。相続人間で感情的な対立が激しく、冷静な話し合いが望めない場合に、非常に有効な法的手続きです。
4.相続財産に借金があるなら「相続放棄」が最善策
故人の相続財産に借金がある場合は、相続放棄を選択することが最善策といえます。相続放棄を検討している方は、申述する前に手続きの仕組みを詳しく知らなければなりません。
ここでは、民法上のルールについて詳しく解説します。
4-1.相続放棄のメリットとデメリット
相続放棄を選択するメリットやデメリットについて表でまとめました。
| メリット | ・借金の返済から逃れられる・相続トラブルから逃れられる・遺産分割協議に参加する必要がない |
| デメリット | ・資産も引き継げなくなる・一度相続放棄すると撤回ができない・相続権の移行を巡ってトラブルになる恐れがある |
相続放棄によって借金の返済義務がなくなる点では強みですが、資産も引き継がれなくなるのがデメリットです。これらの要素を押さえつつ、相続放棄するかどうかを慎重に選びましょう。
4-2.「自分が相続人だと知ってから3ヶ月」の期限に注意
相続放棄を選びたいのであれば、自分が相続人だと知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。期限を過ぎてしまうと、相続財産を単純承認したとみなされ、負債を含む財産を相続しなければなりません。
財産調査や必要書類の収集をおこない、相続放棄の申述まで済ませるには、少なからず時間がかかります。スムーズに手続きを進めたいのであれば、司法書士や弁護士に依頼したほうが賢明です。
関連記事:相続放棄の期間を知らなかった!期間が過ぎても相続放棄が認められる条件
4-3.相続放棄の手続きの流れと必要書類
相続放棄の申述をするには、以下のプロセスを経る必要があります。
- 必要書類(戸籍謄本など)の収集
- 相続放棄申述書の作成
- 家庭裁判所への申し立て
- 受理通知書の受領と保管
手続きにミスがあると、相続放棄できなくなる可能性もあるため、各プロセスの内容をしっかりと押さえてください。
4-3-1.①必要書類(戸籍謄本など)の収集
相続放棄の手続きをするには、申述書に加えて次の必要書類を集めなければなりません。
- 被相続人の死亡日が記載されている戸籍謄本
- 申述人本人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票もしくは戸籍附票
- 収入印紙(800円分)
- 郵便切手(金額は家庭裁判所に要確認)
相続人の立場によって、ほかにも必要となる書類が出てくる可能性があります。家庭裁判所や司法書士、弁護士にも確認するなど、不備がないようにしましょう。
4-3-2.②相続放棄申述書の作成
必要書類を揃えたら、相続放棄申述書を作成しましょう。様式は、裁判所の公式ページからダウンロードできます。
記入例も公式ページに掲載されているため、一緒にダウンロードしておくとよいでしょう。
4-3-3.③家庭裁判所への申立て
相続放棄申述書の作成を終えたら、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出しましょう。提出方法は、窓口への持参か郵送の2種類です。
書類を提出したあとは、相続放棄するかどうかを確認すべく、照会書が届くことがあります。回答書を提出しないといけないため、郵便受けなどをしっかりとチェックしてください。
4-3-4.④受理通知書の受領と保管
無事に相続放棄の申述が認められると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。こちらは、相続放棄した旨を証明する重要な書類です。仮に故人の債権者から借金の返済を要求されても、当該書類を提示して拒否できます。
相続放棄受理通知書は1回しか送付されず、再発行はできません。紛失したら、手数料を払ったうえで「相続放棄受理証明書」を発行しなければなりません。紛失しないように、大切に保管してください。
5.知らない間に相続人になっていたら司法書士への相談がおすすめ

突然、知らない親族の相続人になったと知らされ、何から手をつけて良いか分からない場合は、相続手続きの専門家である司法書士に相談するのが、最も安全で効率的な第一歩です。
相続放棄には3カ月という厳しい期限があるため、迅速かつ正確な対応が求められます。司法書士が、具体的にどのようにあなたの助けとなるのか、そのメリットを3つの側面から解説します。
5-1.複雑な戸籍収集を正確かつ迅速に進めてくれる
司法書士に依頼することで、相続人を確定させるために不可欠ながら複雑で時間のかかる戸籍謄本の収集を、全て代行してもらえます。とくに疎遠な親族の相続では、故人の出生から死亡までの一連の戸籍を各地の役所に請求して集める必要があり、一人でおこなうのは大変な労力です。
司法書士は、職務上の権限でこれらの戸籍を迅速に収集できます。これにより、相続放棄の期限が迫っている場合でも、スムーズに次の手続きへと進めます。
5-2.相続放棄の手続きをサポートしてもらえる
故人に借金があることが判明し相続放棄を決断した場合には、家庭裁判所に提出する「相続放棄申述書」の作成といった、法的な書類作成を正確にサポートしてもらえます。
申述書の書き方を間違えたり、必要書類に不備があったりすると、相続放棄が認められないリスクもあります。司法書士は、書類作成のプロとして、裁判所が受理する法的に完璧な申述書の作成をサポートしてくれます。
期限内に確実に相続放棄の手続きを完了させるための、心強い味方となります。
5-3.不動産の名義変更(相続登記)までワンストップで対応できる
財産調査の結果、借金がなく不動産を相続することになるケースもあります。司法書士であれば、その後の不動産の名義変更手続き(相続登記)までをワンストップで依頼することが可能です。
相続登記は、司法書士の最も専門とする業務分野です。遺産分割協議書の作成から、法務局への登記申請まで、全てのプロセスを責任をもって代行してくれます。
相続の開始から、不動産の名義変更という最終的なゴールまで、一貫してサポートを受けられる安心感があります。
関連記事:【相続登記義務化以降】相続登記をしないとどうなる?リスクを解説
6.まとめ
相続権は、自分の知らない間に発生することがあります。面識のない人から連絡が来たら焦るかもしれませんが、まずは落ち着いて相手の話を聞きましょう。
故人の財産を相続したいのであれば、一般的に遺産分割協議への参加が必要です。一方で関わりたくない場合は、早めに相続放棄の手続きをしましょう。思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、弁護士に相談したうえで手続きを進めたほうが賢明です。
司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。











