相続登記

遺産分割協議書に未登記建物を書く方法!手続きの流れを詳しく解説

2024.08.01

被相続人に該当する親族が亡くなると、相続を中心に数々の手続きに追われます。相続の手続きをする中で、相続人を悩ませるのが未登記建物があった場合です。

「相続財産に未登記建物があるものの、どのように処理すればよいかわからない」
このような悩みを抱えている相続人も一定数いるでしょう。

そこで今回は、以下の内容について紹介します。

  • 未登記建物とは
  • 建物を相続するときに必要な手続き
  • 未登記建物をそのままにするデメリット
  • 遺産分割協議書に未登記建物を書く方法
  • 遺産分割協議はお近くの司法書士に相談しよう


この記事を読むことで、遺産分割協議書の記載例や手続きの流れを把握できます。

相続財産を調べてみたら未登記であることが判明する場合もあるので、建物を相続する予定の人は全員参考にしてください。

1.未登記建物とは

まずは未登記建物について、登記の手続き上の関わりにも触れながら解説します。登記に関する基本的な内容を押さえつつ、相続する予定の建物を確認する際の参考にしてください。
 

1-1.不動産登記の意味と役割

不動産登記とは、不動産に関する権利を得たことを外部に主張する方法のひとつです。不動産は動産とは異なり、所有権などの権利の状態が分かりづらいといった特徴があります。

仮に登記制度がなければ、誰もが土地や家に対して所有権があると主張できてしまいます。自分に権利があることを明示し、これから起こりうるさまざまな取引を円滑におこなうための制度です。

登記には、手続きの内容ごとに以下の種類があります。

登記の種類抵当権抹消登記
建物表題登記建物の新築時に表題部を新しく作成する
所有権保存登記未登記の建物に対して初めての所有者であることを主張する
所有権移転登記売買・贈与・相続などを理由に所有者が変わったことを示す
抵当権設定登記住宅ローンを借りるときに抵当権(※)を設定する
抵当権抹消登記住宅ローンを完済した際に抵当権を抹消させる

※金銭を担保に不動産を使用・収益できる権利。借金を返済できないと不動産は競売にかけられる(売却費用が充てられる)
 

1-2.未登記建物は「表題部」の登記がされていないこと

未登記建物は、その名のとおり登記がなされていない建物のことです。ただし登記には、大きく分けて「権利部(甲区・乙区)」と「表題部」の2種類があります。

そもそも表題部の記載がなければ、権利部は記載できません。表題部は不動産の所在・地番・地目などを指し、登記の基盤となります。

したがって未登記建物に分類されるのは、表題登記がなされていない建物です。一方で表題登記がされていても、適切に権利登記がない場合も未登記建物として扱います。

2.建物を相続するときに必要な手続き

被相続人が建物を所有していた場合、トラブルなく引き継ぐためにもいくつかの手続きを踏まないといけません。ここでは、手続きの基本的な手順を以下の3つに分けて解説します。

  1. 相続財産に未登記建物がないかをチェックする
  2. 遺産分割協議にて誰が引き継ぐかを決める
  3. 相続したらすみやかに登記をおこなう


それぞれご紹介します。
 

2-1.相続財産に未登記建物がないかをチェックする

まず確認したいポイントが、親から引き継ぐ財産の中に未登記建物がないかです。

自治体から毎年送付される固定資産税納税通知書には、登記がされていない建物は「未登記」と表記されています。また建物の所在地を管轄する法務局で手続きすれば、登記されているかどうかを教えてくれます。
 

2-2.遺産分割協議にて誰が引き継ぐかを決める

未登記建物も含め、財産の状況を把握できたら遺産分割協議に移りましょう。

遺産分割協議は、原則として相続人全員の参加がなければ効果を発揮しないとされています。誰が相続人になるかを把握し、全員で集まる機会をあらかじめ用意してください。

建物の場合、お金とは違って物理的には分けられません。建物を残すのであれば誰か一人に渡すか(現物分割)、相続人らで共有する方法があります(共有分割)。

また目的物を第三者に売却し、そのお金を相続分に従って分けるのも可能です(換価分割)。
 

2-3.相続したらすみやかに登記をおこなう

遺産分割協議が整い、相続が完了したらすみやかに登記しましょう。登記は義務であるため、必ず済ませないといけません。

以前から登記義務自体はありましたが、令和6年4月の法改正により10万円以下の過料という罰則が設けられます(登記法76条の2、164条)。

なお登記しないといけない期限は3年以内です。こちらも期限も、今回の法改正で新たに加わりました。しかし遺産分割協議が長引いてしまい、なかなか登記できないケースもあるでしょう。

そこで利用したいのが、相続人申告登記制度です。この制度は法務局に自分が相続人であるのを申し出ることで、仮の手続きとして相続登記したとみなされます。

ただし遺産分割協議が終わったタイミングで、正式に登記を済ませる必要があります。

3.未登記建物をそのままにするデメリット

未登記建物をそのままにすると、今後の生活において以下4つのデメリットが生まれます。

売買が難しくなる
融資を受けられなくなる
住宅用地にかかる減税の対象外となる
罰則の対象になることも

一つずつ見ていきましょう。
 

3-1.売買が難しくなる

登記をしないことによるデメリットのひとつが、売買が難しくなる点です。相続人から建物を引き継いで、誰かに売ろうと考えている人もいるでしょう。

たとえ登記をしなくとも、売買が一切できなくなるわけではありません。しかし未登記建物の状態では、買主側も本当に相手が建物の所有者であるかの判別が難しくなります。

詳しくは後述しますが、未登記建物には担保の設定や固定資産税の減税ができないため、わざわざ買う人もほとんどいないのが現状です。
 

3-2.融資を受けられなくなる

建物が登記されていない状態では、担保の設定ができなくなります。つまり住宅ローンといった融資が受けられなくなるのもデメリットのひとつです。

被相続人が住宅ローンを組んで建物を完成させた場合は、基本的には登記も済んでいるでしょう。しかし現金一括で建てたときは金融機関が関与しないため、登記をせずに完成させているケースがまれにあります。

住宅ローンは、新築のみならず増改築やリフォーム時にも役立ちます。相続後に工事する可能性も考えると、登記は完了させておいたほうが賢明です。
 

3-3.住宅用地にかかる減税の対象外となる

住宅用地にかかる固定資産税や都市計画税は、条件次第では減税の対象となります。

 税の種類軽減率
小規模住宅用地
(200㎡以下)
固定資産税評価額×1/6
都市計画税評価額×1/3
一般住宅用地
(200㎡超)
固定資産税評価額×1/3
都市計画税評価額×2/3


一方で未登記建物は、登記上は土地の上に何もない状態です。したがって住宅用地と認められず、軽減措置が受けられないこともあります。
 

3-4.罰則の対象になることも

上述したとおり、建物を相続登記せずに放置すると10万円以下の過料に該当する場合があります。最低限として表題部の登記は済ませなければなりません。

期限の起算点は「相続人が建物の存在を知ったとき」です。そのため遺産分割協議が完結していなくとも、3年以内には登記申請すべきとされています。

関連記事:相続で未登記建物を放置するリスクとは?相続の流れを解説

4.遺産分割協議書に未登記建物を書く方法

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の内容が整理された書類のことです。登記が済んでいる建物とは、協議書の書き方も異なります。

主に全体像を示しつつ、取り扱い方についても触れましょう。
 

4-1.遺産分割協議書への未登記建物の書き方

未登記建物の遺産分割協議書は、以下のように記載されます。
 

下記不動産は、甲が相続する。<建物>
所在  
家屋番号  未登記建物
種類    〇〇〇〇
構造    〇〇〇〇
床面積   1階 〇〇〇〇㎡
      2階 〇〇〇〇㎡
(未登記建物につき、令和◯年度固定資産税評価証明書参考)


ここでは、家屋番号の書き方と構造の調べ方を詳しく見ていきましょう。

4-1-1.家屋番号の書き方

未登記建物の場合、家屋番号自体が存在しません。番号の書きようがないため、こちらは「未登記建物」と記載します。

第三者が見てもわかりやすいように、協議書の下部には「未登記建物につき〜」と記載するとよいでしょう。

4-1-2.構造や床面積を調べるには

未登記建物の場合、情報を調べる先は自治体の「資産税課」です。登記されていなくとも固定資産税は発生するので、自治体には建物に関する情報があります。

まずは毎年送付される「固定資産税納税通知書」から情報を確認してください。書類を紛失して確認できないのであれば、自治体に問い合わせて評価証明書や名寄帳を提示してもらいましょう。
 

4-2.遺産分割協議書を自治体に提出

未登記建物の相続人が決まったら、相続登記の手続きに移ります。手続きの際には、遺産分割協議書を管轄の自治体に提出しなければなりません。

ほかにも登記をするときは、以下の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 建築確認書(検査済証)
  • 建物の評価証明書
  • 工事完了引渡証明書
  • 図面および平面図(各階)
  • 戸籍謄本(被相続人および相続人全員分)
  • 印鑑証明書(相続人全員分)


これらの書類を集めるには、時間がかかります。用意できるものから集めておき、何が足りないのかを整理してください。

図面や平面図がないときは、土地家屋調査士に依頼すれば新たにもらえます。

5.遺産分割協議はお近くの司法書士に相談しよう

遺産分割協議書の作成自体は、素人だけでも可能です。

ただし未登記建物の場合、登記事項証明書が存在しないため相続人も登記の有無を把握できていないケースが考えられます。登記がなされていない状態で遺産分割協議をしても、基本的に効力は発揮しません。

相続の手間を増やさないためにも、事前に司法書士へ相談したほうが賢明です。司法書士に依頼すれば、登記のみならず遺産分割協議の進行もサポートしてくれます。

相続人同士の揉め事にも対応できるので、気軽に相談してください。

6.まとめ

不動産を相続するうえでは、原則として登記を済ませなければなりません。

未登記建物の場合は、遺産分割協議書の記載方法もある程度は決められています。必要書類もしっかりと確認しつつ、不備なく手続きを進めてください。

未登記建物をそのままにすると、今後の生活でもさまざまな負担を抱えるでしょう。令和6年度より罰則が適用されたこともあり、登記は基本的に義務であると認識してください。

登記は専門的な知識も求められるので、自信がないのであれば司法書士への依頼をおすすめします。

司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続登記をはじめとした相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。

監修者 池部 翔司法書士・行政書士

司法書士法人・行政書士鴨川事務所 代表

相続手続きは複雑で、自己判断により重大なトラブルを招くことがあります。当事務所では、丁寧に相談を受けたうえで、専門知識を活かし、最適な解決策の提案から実行までをサポートしています。

京都司法書士会・京都府行政書士会所属

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