遺言書は封筒なしでも有効?リスクと正しい封筒のルールも紹介
相続登記をやり直す更正登記・抹消登記とは?やり直せるケースとやり直せないケースも紹介
2026.06.17

「相続登記を間違えてしまった場合に、やり直しが可能か知りたい」
「相続登記の修正手続きの流れや必要書類、費用を知りたい」
「登記内容の誤りを放置した場合のリスクや、早急に対応すべきケースを知りたい」
相続登記のやり直しを考えている方のなかには、上記のような悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
相続登記は、完了したあとでも内容に誤りがあればやり直しが可能です。
本記事では、相続登記をやり直す更正登記・抹消登記について解説します。
相続登記をやり直せるケースとやり直せないケースも紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
1.相続登記のやり直しは可能?
相続登記は、一度完了したあとでも内容に誤りがあればやり直しが可能です。登記時点から氏名・住所・持分に誤りがあった場合は更正登記、登記自体を取り消す必要がある場合は抹消登記などの手続きをおこないます。
ただし、やり直しの方法は誤りの内容によって異なるため、まずは登記事項証明書や遺産分割協議書を確認し、どのような修正が必要なのかを把握しましょう。
1-1.更正登記とは
更正登記とは、すでに登記された内容に誤りがある場合に、その内容を正しい情報へ修正するための登記手続きです。相続登記では、相続人の氏名や住所、持分割合などを誤って登記した際に利用されます。
たとえば、本来は兄と妹が2分の1ずつ相続する予定だったにもかかわらず、持分割合を誤って登記した場合は、更正登記によって正しい割合へ修正できます。ただし、持分割合の誤りであっても、単なる記載ミスなのか、実際の権利変動なのかによって手続きが異なります。
誤った登記を放置すると、不動産の売却や担保設定などの手続きに支障が生じる場合があるため、登記ミスに気付いた際は早めに更正登記をおこないましょう。
1-2.抹消登記とは
抹消登記とは、登記の効力を失わせるための手続きです。相続登記に重大な誤りがあり、更正登記では修正できない場合におこなわれます。
たとえば、本来は相続人ではない人を誤って名義人として登記した場合や、無効な遺産分割協議にもとづいて相続登記がおこなわれた場合には、抹消登記が必要となる場合があります。
誤った登記を放置すると、不動産の売却や新たな相続手続きの際にトラブルが発生するリスクがあるため、速やかに抹消登記の必要性を確認し、適切な対応を進めましょう。
1-3.更正登記と抹消登記の違い
更正登記と抹消登記の違いは、登記内容を修正するのか、登記そのものを取り消すのかにあります。登記内容の一部に誤りがある場合は更正登記、登記自体が誤っている場合は抹消登記をおこなうのが一般的です。
どちらの手続きが必要になるかは、誤りの内容によって異なるため、登記内容に問題が見つかった際は、原因を確認したうえで適切な方法を選びましょう。
2.相続登記をやり直せるケースとやり直せないケース

相続登記は、誤りの内容によってはやり直しが可能ですが、状況によっては簡単に修正できない場合もあります。まずは、ご自身のケースがどちらに該当するのか確認しましょう。
2-1.相続登記をやり直せるケース
相続登記は、以下のようなケースでやり直せる場合があります。
- 相続人の氏名や住所を誤って登記した場合
- 持分割合を誤って登記した場合
- 遺産分割協議書の内容と異なる内容で登記した場合
- 登記申請書の記載ミスがあった場合
- 相続人全員の合意により当初から誤っていた登記内容を修正する場合
上記のケースでは、更正登記や抹消登記などの手続きによって修正できる場合があります。誤りの内容によって必要な手続きが異なるため、登記簿や相続関係書類を確認したうえで対応するのが大切です。
関連記事:勝手に相続登記されるパターンとは?放置するリスクや対処法を徹底解説
2-2.相続登記をやり直せないケース
一方で、以下のようなケースでは、相続登記のやり直しが難しくなる場合があります。
- 登記後に第三者へ不動産が売却されている場合
- 相続人間で登記内容の修正について合意が得られない場合
- 時効や権利関係の問題が複雑化している場合
このようなケースでは、単純な登記手続きだけでは解決できず、遺産分割協議のやり直しや裁判手続きが必要になる場合があります。相続登記の誤りに気付いた際は、問題が大きくなる前に早めに対応しましょう。
3.相続登記をやり直すメリット・デメリット

相続登記のやり直しには、登記内容を正しい状態にできるメリットがある一方で、手続きや費用の負担が生じるデメリットもあります。相続登記のやり直しを検討する際は、双方を理解したうえで判断するのが大切です。
3-1.相続登記をやり直すメリット
相続登記をやり直すメリットは、以下の4つです。
- 登記内容を実際の権利関係に合わせられる
- 不動産売却や名義変更を円滑に進められる
- 将来の相続トラブルを予防できる
- 相続人全員が納得した状態で不動産を管理できる
ひとつずつ見ていきましょう。
3-1-1.登記内容を実際の権利関係に合わせられる
相続登記をやり直すメリットは、登記簿の内容を実際の権利関係と一致させられる点です。たとえば、法定相続分どおりに登記したあとで遺産分割協議がまとまった場合、登記簿上の名義人と実際の所有者が異なる状態になります。このズレを放置すると、不動産を担保にする際や売却する際に支障が出るリスクがあります。
更正登記をおこなうと、実際に不動産を取得した人の名義に正しく修正でき、権利関係の食い違いを解消することが可能です。
3-1-2.不動産売却や名義変更を円滑に進められる
相続登記をやり直すと、不動産の売却や次の名義変更をスムーズに進められるのがメリットです。登記簿上の名義人と実際の所有者が一致していない不動産は、買主や金融機関から見て権利関係が不明確とみなされ、売却交渉や融資審査に時間がかかる場合があります。
登記内容を正しく整えておくと、将来の不動産活用における手続きの障害を取り除くことが可能です。
3-1-3.将来の相続トラブルを予防できる
相続登記をやり直しておくと、次の世代に相続が発生した際のトラブルを未然に防げます。
現在の登記内容に誤りや不一致があるまま放置すると、将来さらに相続人が増えて関係が複雑化し、修正が困難になるリスクがあります。とくに共有名義のまま長期間放置された不動産は、相続人の一部が亡くなることで権利者がねずみ算式に増えていくため注意が必要です。
早い段階で相続登記をやり直すと、権利関係を明確にできるため、将来世代への負担を減らせます。
関連記事:共有名義の相続登記とは?相続登記が必要な理由や申請手順も紹介
3-1-4.相続人全員が納得した状態で不動産を管理できる
相続登記をやり直すと、相続人全員が納得したうえで不動産を管理できる状態を実現できます。
法定相続分での登記や一部の相続人だけの意向で進められた登記は、ほかの相続人が不満を抱える原因になりかねません。あらためて遺産分割協議をおこない、全員の同意を得たうえで登記をやり直すと、不動産の管理方針や将来の処分について合意形成がしやすくなります。
3-2.相続登記をやり直すデメリット
ここでは、相続登記をやり直すデメリットを紹介します。
- 更正登記や抹消登記の手続きに時間がかかる
- 登録免許税や専門家報酬などの費用が発生する
- 相続人全員の協力や同意が必要になる場合がある
- 手続きが複雑で必要書類が増える場合もある
ひとつずつ見ていきましょう。
3-2-1.更正登記や抹消登記の手続きに時間がかかる
相続登記をやり直す際は、更正登記や抹消登記といった手続きに通常の登記より時間がかかる場合があります。これらの手続きでは、誤りの原因や経緯を証明する書類をあらためて準備する必要があり、書類の収集や法務局との調整に数週間から数カ月かかるケースもあります。
とくに登記原因の証明が難しい場合は、法務局との事前相談が必要になり、さらに時間を要する場合も。
相続登記のやり直しを検討する際は、スケジュールに余裕を持って取り組みましょう。
3-2-2.登録免許税や専門家報酬などの費用が発生する
更正登記の登録免許税は登記内容によって異なり、相続登記の持分更正など定額課税となるケースでは、不動産1個につき1,000円かかる場合があります。
一方、誤った登記を抹消して再度相続登記をおこなう場合は、抹消登記の登録免許税に加え、新たな相続登記の登録免許税が必要です。相続登記の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%かかります。
また、司法書士報酬は事務所や地域、案件の難易度によって異なりますが、最初の登記時と同様に数万円から十万円程度の報酬が必要です。
相続登記のやり直しを検討する際は、やり直しによる費用負担も考慮したうえで判断しましょう。
3-2-3.相続人全員の協力や同意が必要になる場合がある
相続登記をやり直すには、相続人全員の協力や同意が必要になる場合があります。とくに遺産分割協議の内容を変更して登記をやり直す場合、新たな遺産分割協議書の作成と全員の署名・実印での捺印、印鑑証明書の添付が必要です。
そのため、相続人のなかに連絡が取りづらい人や協議に消極的な人がいると、やり直しの手続きが滞るリスクがあります。
相続登記のやり直しをスムーズに進めるためには、早い段階から相続人全員へ丁寧に事情を説明し、理解を得ておくのが望ましいです。
3-2-4.手続きが複雑で必要書類が増える場合もある
相続登記をやり直す手続きは、最初の登記よりも必要書類が増え、内容が複雑になる場合があります。やり直しの原因や経緯を証明するため、当初の登記申請書や遺産分割協議書に加えて、修正の根拠を示す追加の証明書類が必要になる場合があるのです。
また、相続登記の種類によって更正登記や抹消登記、所有権移転登記などの手続きが異なり、ケースに応じた判断が求められます。
相続登記のやり直しで複雑な手続きで不安がある場合は、司法書士に相談しながら進めるのが安心です。
4.相続登記をやり直す際の手順

ここでは、相続登記をやり直す際の手順を解説します。
- 登記内容の誤りを確認する
- 必要な手続きを判断する
- 必要書類を収集する
- 法務局へ申請する
- 登記完了後に内容を確認する
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1.登記内容の誤りを確認する
まずは登記事項証明書や遺産分割協議書、戸籍謄本などを確認し、どの部分に誤りがあるのかを明確にしましょう。
以下は、相続登記で起こり得る誤りです。
- 氏名や住所の記載ミス
- 持分割合の誤り
- 相続人の誤認
- 遺産分割協議の内容との不一致
誤りの内容によって必要な手続きが異なるため、最初に原因を特定するのが重要です。
4-2.必要な手続きを判断する
次に誤りの内容に応じて、どの手続きを利用するかを決定します。
- 記載内容の修正で済む場合:更正登記
- 登記自体を取り消す場合:抹消登記
- 新たな権利関係へ変更する場合:所有権移転登記・持分移転登記・真正な登記名義の回復など
判断を誤ると申請が受理されないリスクがあるため、不明な場合は司法書士へ相談するのがおすすめです。
4-3.必要書類を収集する
相続登記をやり直す方法が決まった場合、手続きに必要な書類を準備します。一般的には、以下の書類を準備する必要があります。
- 登記申請書
- 登記事項証明書
- 戸籍謄本や住民票(氏名や住所の誤りを修正する場合)
- 遺産分割協議書(持分割合の誤りを修正する場合)
- 印鑑証明書(権利関係に影響が生じる場合)
- 登記識別情報(権利関係に影響が生じる場合)
- 登記原因証明情報
- 本人確認書類
- 誤りの内容を証明する資料
必要書類は修正内容によって異なるため、事前に法務局や司法書士へ確認しておきましょう。
4-4.法務局へ申請する
必要書類が揃い次第、不動産所在地を管轄する法務局へ申請します。申請方法は窓口申請のほか、郵送やオンライン申請も可能です。
書類に不備がない場合は審査がおこなわれ、登記手続きが進められます。
4-5.登記完了後に内容を確認する
登記手続きが終了したあとは、登記完了通知を受け取り、登記事項証明書を取得して内容を確認しましょう。誤りが解消されているかを確認しておくと、将来の売却や相続時のトラブルを防げます。
これで相続登記のやり直しは完了です。
5.相続登記のやり直しにかかる費用相場
相続登記のやり直しには、数万円から十数万円程度の費用がかかるのが一般的で、費用の内訳は以下のとおりです。
- 登録免許税
- 必要書類の取得費用
- 司法書士へ依頼する場合の報酬
更正登記や抹消登記の内容によって金額は異なり、手続きが複雑になるほど費用も高くなる傾向があります。たとえば、戸籍謄本や登記事項証明書の取得には数百円から数千円程度が必要です。
司法書士へ依頼する場合は、5万円〜15万円程度かかります。事前に見積もりを取り、必要な費用を確認しておくのが大切です。
6.更正登記と抹消登記以外に相続登記をやり直す方法
相続登記の内容そのものに誤りがない場合でも、相続人同士の話し合いによって不動産の取得者を変更したい場合は、更正登記や抹消登記ではなく、現在の登記名義人から新たな取得者へ所有権移転登記をおこなうケースもあります。
以下のケースに該当する場合は、更正登記や抹消登記ではなく、所有権移転登記を検討しましょう。
- 法定相続分で相続登記をしたあとに、遺産分割協議が成立した場合
- 相続人全員の共有名義となっている不動産を、特定の相続人の単独名義に変更する場合
- 遺産分割調停や審判の結果にもとづき、不動産の取得者が決定した場合
- 相続人間で持分の移転が必要になった場合
- 相続登記後に相続人同士で合意し、不動産の所有者を変更する場合
なお、2023年4月以降は、法定相続分による相続登記のあとに遺産分割協議が成立したケースでは、従来の所有権移転登記ではなく、所有権更正登記による手続きが認められる場合もあります。
7.まとめ
相続登記は、一度完了したあとでも内容に誤りがあればやり直しが可能です。誤りの内容に応じて、更正登記や抹消登記などをおこないます。
相続登記をやり直すと、不動産の権利関係を正しい状態に修正し、将来の売却や相続時のトラブルを防げます。ただし、相続登記のやり直しには、手続きに時間や費用がかかり、相続人同士の調整が必要になる場合があります。
登記内容に誤りや実情との不一致に気づいた場合は、放置せず早めに対応するのが大切です。相続人が増えて権利関係がさらに複雑化する前に、司法書士や専門家に相談しながら適切な手続きを進めましょう。







