手書きの遺言書の書き方と注意点|遺言書のテンプレートや例文も紹介
手書きの遺言書の書き方と注意点|遺言書のテンプレートや例文も紹介
2026.04.30

「手書きで遺言書を書く際の正しい書き方を知りたい」
「手書きの遺言書が法的に無効にならないための注意点を確認したい」
「手書きの遺言書ですぐに使える例文やテンプレートを知りたい」
手書きで遺言書を書く方のなかには、上記のような考えをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
手書きの遺言書は、全文を自筆で記載し、日付と氏名を書いて押印するなど法律で定められた形式を守る必要があります。
本記事では、遺言書を手書きで書く際の書き方と注意点を解説します。
手書きの遺言書で使えるテンプレートや例文もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
1.遺言書を手書きで書く際の書き方

手書きの遺言書(自筆証書遺言書)を有効に成立させるには、法律で定められた一定のルールをすべて満たす必要があります。ルールを1つでも守れていないと、遺言書が無効になる場合があるため、以下では、手書きの遺言書の正しい書き方をご紹介します。
- 全文を自筆で清書する
- 作成年月日を正確に記す
- 氏名を署名し押印する
- 加筆修正の作法を守る
- 財産目録を別紙で添える
- 封筒に入れ封印を施す
- 安全な場所で保管する
ひとつずつ確認していきましょう。
1-1.全文を自筆で清書する
手書きの遺言書(自筆証書遺言書)は、本文のすべてを遺言者本人が手書きしなければなりません。パソコンやスマートフォンで作成した文章を印刷したものは無効となります。
財産目録のみ例外としてパソコンでの作成が認められていますが、それ以外の本文・日付・氏名は必ず手書きで記入してください。
1-2.作成年月日を正確に記す
遺言書には、作成した年・月・日を正確に記載する必要があります。「令和7年4月吉日」のような曖昧な表現は法律上無効とみなされるため、「令和7年4月24日」のように、具体的な日付を書いてください。
日付は複数の遺言書が存在する場合、どちらが最新かを判断する根拠にもなります。正確な日付の記載は、遺言書の有効性を守るうえで欠かせない情報であるため、正確かつ具体的に記入しましょう。
1-3.氏名を署名し押印する
遺言書の末尾には、遺言者本人が自筆でフルネームを署名し、押印をおこなう必要があります。署名はパソコンや他人による代筆では認められません。
押印に使う印鑑は実印が望ましいとされていますが、認印でも法律上は有効です。ただし、のちのトラブルを防ぐためには実印を使用するのが望ましいです。
1-4.加筆修正の作法を守る
遺言書を書き直したい場合は、民法で定められた厳格な手順にしたがって訂正する必要があります。具体的には、訂正箇所に二重線を引き、その上に押印したうえで、変更した文字数を記載し署名をおこないます。
正しい修正手順を踏まなければ、訂正は無効となるため、間違えた場合は最初から書き直すのもひとつの手です。
1-5.財産目録を別紙で添える
財産の内容を整理して示す財産目録は、遺言書の本文とは別の用紙に記載してください。
財産目録のみパソコンで作成が認められており、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの活用が認められています。そのため、本文と同じ用紙にまとめると、本文をパソコンで作成したとみなされ、遺言書全体が無効になるおそれがあります。
また、財産目録の全ページに署名または押印が必要です。忘れずに記入しましょう。
1-6.封筒に入れ封印を施す
遺言書を書き終えたら、封筒に入れて封をしてください。封筒の表には「遺言書在中」と記載し、封書に押印(封印)をおこなうことで、第三者による開封や内容の改ざんを抑止できます。
封印は法律上の義務ではありませんが、遺言書の信頼性を高めるために有効な手段です。
1-7.安全な場所で保管する
遺言書の作成後は、紛失や改ざんのリスクを防ぐ安全な保管場所を選ぶ必要があります。自宅で保管する場合は耐火金庫や、第三者が容易に手を触れられない場所を選んでください。
安全な保管方法として、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」の利用がおすすめです。費用は1件3,900円と手ごろで、法務局が原本をデータとして管理し、相続開始後には相続人への通知もおこなってくれます。
関連記事:遺言書の保管方法は種類によって異なる?自筆証書・公正証書・秘密証書の保管方法
2.遺言書を手書きで書く際のテンプレート・例文
遺言書は書き方の型を参考にすると、必要な内容を漏れなく盛り込みやすくなります。以下で遺言書の基本的なテンプレートと、気持ちを伝える付言事項の例文を見ていきましょう。
2-1.基本のテンプレート
手書きの遺言書には、法律で厳密に定められた書式や順番はありませんが、要件を満たすために、一般的な構成に沿って記載するのが望ましいです。以下では遺言書の基本的なテンプレートをご紹介します。
遺言書
| 私は、以下のとおり遺言します。 第1条 ○○銀行△△支店の普通預金(口座番号:XXXXXXXX)は、長男・山田太郎(昭和○○年○月○日生)に相続させます。 第2条 別紙財産目録記載の不動産(土地および建物)は、妻・山田花子(昭和○○年○月○日生)に相続させます。 第3条 上記以外の財産はすべて、妻・山田花子に相続させます。 令和7年4月24日東京都○○区○○町1丁目2番3号 遺言者 山田一郎 ㊞ |
氏名・住所・生年月日などは法律上の必須事項ではありませんが、相続人を明確に特定するために記載するのが望ましいです。
2-2.付言事項の例文
付言事項とは、法的な効力はないものの、遺言書に添える家族へのメッセージのことです。なぜそのような遺言を残したかの理由や、感謝の気持ちを伝えるために活用されます。以下は付言事項の例文です。
付言事項
| 長男の太郎へ。幼い頃から誰よりも家族を支えてくれてありがとう。預金を託すのは、あなたへの感謝の気持ちです。 花子へ。長い年月、ともに歩んでくれたことに心から感謝しています。どうか健やかに過ごしてください。 家族みんなが仲良く助け合って生きてくれることが、私の一番の願いです。 |
付言事項を丁寧に書くと、残された家族が遺言の意図を理解しやすくなり、相続後のトラブル防止にもつながります。
3.遺言書を手書きで書く際の注意点

手書きの遺言書は、些細なミスが遺言書全体の無効につながる場合があります。法的な不備を防ぐために、以下の注意点をしっかり確認してください。
- 消えにくい筆記具を使う
- 財産の内容を具体的に特定する
- 曖昧な指示や表現を排除する
- 訂正印と修正の作法を厳守する
- 遺留分への侵害を考慮する
- 付言事項で理由や想いを残す
ひとつずつ解説します。
3-1.消えにくい筆記具を使う
遺言書を手書きで書く際は、ボールペンや万年筆など、消えにくい筆記具を使いましょう。鉛筆やフリクションペンなど、消去・修正が容易なものは第三者による改ざんのリスクがあるため、使用を避けてください。
遺言書は長期間保管されるため、時間が経っても文字が薄れない、耐久性のある筆記具を選ぶのがポイントです。
3-2.財産の内容を具体的に特定する
手書きで遺言書に記載する財産は、誰が読んでも特定できるよう具体的に書く必要があります。不動産であれば登記簿に記載された所在地・地番・家屋番号を、銀行口座であれば銀行名・支店名・口座種別・口座番号を記載してください。
「自宅の土地」「○○銀行の口座」のような曖昧な表現では、相続人が対象の財産を特定できず、トラブルの原因になります。
3-3.曖昧な指示や表現を排除する
手書きの遺言書で「できるだけ仲良く分けてほしい」「適切に相続させる」といった曖昧な表現は避けましょう。解釈の幅が生まれると、相続人同士で意見が分かれ、争いにつながりやすくなります。
誰に何をどれだけ渡すかを、明確かつ具体的な言葉で記載してください。「○○を△△に相続させる」という形式で書くと、誤解が生まれにくくなります。
3-4.遺留分への侵害を考慮する
遺言書を書く際には、法律で保障された遺留分を侵害しないよう注意が必要です。遺留分とは、配偶者や子どもなど一定の相続人が最低限受け取れる財産の割合のことです。
遺留分を無視した遺言書は法的に無効にはなりませんが、相続後に遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。相続人の構成と財産状況をもとに、遺留分への配慮をおこなったうえで内容を決めるのが大切です。
3-5.付言事項で理由や想いを残す
遺言書の本文とは別に、付言事項として家族へのメッセージや財産の分けかたの理由を書き添えるのがおすすめです。付言事項に法的な効力はないものの、なぜその配分にしたかの背景を伝えると、相続人が遺言の意図を理解しやすくなります。感謝の言葉や今後への願いを記すと、相続後の家族間のトラブル防止にもつながります。
遺言書に温かみを加える手段として、付言事項をぜひ活用してみてください。
4.遺言書を手書きで書くメリット
手書きの遺言書には、費用面や手軽さなど、ほかの形式にはない魅力があります。遺言書を手書きで書くメリットは以下のとおりです。
- 費用をかけずに作成できる
- いつでも・どこでも・一人で作成できる
- 内容を誰にも知られずプライバシーを守れる
- 自分の言葉で家族への思いや理由をそのまま伝えられる
- 内容を自由に変更・撤回できる
- 証人や公証人が不要で手続きが簡単である
手書きならではの自由度と手軽さを活かしつつ、法律のルールをしっかり守って遺言書を作成しましょう。
5.遺言書を手書きで書くデメリット
一方で、手書きの遺言書には注意すべき点もいくつかあります。遺言書を手書きで書く主なデメリットは以下のとおりです。
- 形式上のミスで遺言書全体が無効になるリスクがある
- 専門家のチェックがないため不備に気づきにくい
- 自宅保管では紛失・改ざん・破棄のリスクがともなう
- 相続発生後に家庭裁判所での検認手続きが必要となる
- 遺留分への配慮を自分でおこなわなければならない
デメリットが気になる場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら遺言書の作成を進めましょう。
6.まとめ
手書きの遺言書(自筆証書遺言書)は、全文を自筆で記載し、正確な日付と氏名を書いて押印するなど法律で定められた形式を守る必要があります。
手書きの遺言書は、費用をかけずに1人で作成できる手軽さが魅力です。ただし、全文の自筆・正確な日付・署名と押印・正しい訂正方法など、守るべきルールが細かく定められています。ルールを1つでも守れていないと、遺言書が無効になるおそれがあるため注意が必要です。
遺言書作成で不安な点がある場合は、専門家へご相談ください。
司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。










